1985/3
No.8
1. いろいろな雛型 2. INTER NOISE 84 3. INTER NOISE84 音響インテンシティについて 4. INTER NOISE84 低周波音

5. INTER NOISE84 航空機騒音

6. パイナップル・レイン

7. 低周波音の実態について 8. 防滴型補聴器について 9.振動の基準について
 

 振動の基準について

 振動レベルの測定について、我が国では当初から加速度については10-5m/sec2を基準とした対数尺度を用いている。昭和45年頃、振動レベルを設定するに当り、1ガル(10-2m/sec2)がほぼ人間の感覚域値に相当するので、これを基準の0dBにすることも考慮されたが、デシベル値で負の領域も測定対象となることと、常用される測定値が適当な数値になることも考慮されて現在の10-5m/sec2とすることになった。この際、国際動向も調査した結果、米国では対数尺度を用いていないが、10-5m/sec2(又はμG)を基準にしていること、またISOも当時(1970年)DRAFTとして同じ基準値を提案していた。その後、ISOは別表(Table 1,2)のように国際単位を設定することになり、対数尺度を用いる場合、音圧についてはパスカル、Pa(ニュートン/m2)を用い、空気中の音については、1kHzの感覚域値、20μPa(マイクロパスカル)を0dBとし、振動については10-6/sec2を基準値、0dBとすることになった。
 最近我が国においても、可能な限り国際単位を採用するよう勧告されているが、過去15年以上学術的にもかつ行政的にも使われてきた基準値を変更することは極めて困難である。さきのインターノイズ84の際、米国で音響・振動の規格を担当しているDr.R.W.Youngに米国の振動基準について事情を聞いたところ、米国においても古くから10-5m/sec2を基準としてきており、これが一般化されているので、ISOの勧告にかかわらずこれを変更する積りのないことを述べていた。
 しかしインターノイズの会議の中で、我が国から発表された振動に関する講演に対して、基準値をどのようにとったかの質問があったので、振動レベルのような対数尺度を用いる場合には必ず基準値を明示する必要がある。

文献:ISO 1683 Prefered reference quantities for acoustic levels.    First edition 1983-10-01

Table 1 Various acoustic levels expressed in decibels
 
Table 2 Preferred reference quantities expressed in SI units

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