1985/3
No.8
1. いろいろな雛型 2. INTER NOISE 84 3. INTER NOISE84 音響インテンシティについて 4. INTER NOISE84 低周波音

5. INTER NOISE84 航空機騒音

6. パイナップル・レイン

7. 低周波音の実態について 8. 防滴型補聴器について 9.振動の基準について
      閑談 余談
 パイナップル・レイン

 インターノイズの開催された12月のハワイは雨期にあたり、一日のうち何度か夕立ちにみまわれる毎日でした。すぐに降り止むさらりとした雨で、時には頭の上に青空が顔を覗かせているのに雨粒が落ちて来ることもありました。我々の言うところの「狐の嫁入り」ですが、これついてはちょっとした英語の勉強(?)をしてしまいました。
 会議の最終日の夜、INCE/USAのシーボルト会長の主催するワインパーティーに招かれた時のことです。会場は、最上階のテラス付きのスウィートルームで、色々な国の人たちが50名程招待されていました。このパーティーのアレンジもシーボルト会長夫人、ラング大会委員長夫人、展示会責任者のシュバルツ氏夫人などが自分達で料理の買出しやら飾りつけやらをして、極めて家庭的な雰囲気のものになっていました。日本側からは焼鳥100串、日本酒4升を持ち込んでこれは大変好評でした。
 この種のパーティーが会期中に幾つか開かれたのですが、どの場合にも開会の挨拶とか乾杯の音頭といったものは一つもなく、何となく集まり、歓談をし、適当に解散するというあんばいで、我々の感覚では何処かけじめに欠けているようでもあり、物珍しくもありました。
 ところで、このパーティーのとき、シーボルト氏とテラスで話をしているうちに月や星が一杯の夜空から例の雨がサラサラと顔に当たりました。そこで次のようなやりとりとなりました。
 「雨ですネ」
 「………そう、これはpineapple rainですヨ」
 と、シーボルト氏。
 「日本ではfox marriage(弧の嫁入り、のつもり)と言うんですヨ」
 と、ここまでは大真面目で、ハワイにはパイナップル畑が沢山あるからそんな言い方もあるのだろう、新しい英語を一つ仕入れることができた、と思ったのですが…シーボルト氏はニヤニヤしながら屋根の上を指差して、
「あそこにクーリングタワーがあってね……」
と片目をつぶるのです。
 雨と思ったのはクーリングタワーからのしぶきが風の具合でこちらに飛んできたのでした。屋根の上のクーリングタワーは、確かに見ようによっては大きなパイナップルです。アメリカ人のジョークにまんまとのせられ、なにがfox marriageだ、と冷汗の一幕でした。(M.Y)

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