2003/1
No.79
1. 謹んで新年のお慶びを申し上げます 2. 表面インテンシティ計測を応用した押し当て式機器異常音検出センサ 3. 青銅噴水震盆 4. Low Frequency 2002 in York 5. FORUM ACOUSTICAUM SEVILLA 2002

6. WAVE 2002

7. 第11回国際エレクトレットシンポジウム 8. 新型騒音計NL-22/32
      <会議報告>International Workshop
 
FORUM ACOUSTICAUM SEVILLA 2002

建築音響第二研究室室長 吉 村 純 一

 EAA(ヨーロッパ音響学連合)とASJ(日本音響学会)のジョイントシンポジウムとして、FORUM ACOUSTICAUM SEVILLA 2002が9月16日〜20日の4日間、スペインセビリアのセビリア大学で開催された。ヨーロッパ各国を中心に832名の参加者があり、日本からは開催国スペインに次ぐ119名の方が参加された。当研究所からの参加者は、"High speed train"のセッションオーガナイザ及び座長を務めた加来と初日の午前にISO/TC 43/SC 2/WG 22に出席した筆者の2名である。

 会議の開催されたセビリアは、アンダルシア地方の中心都市で歴史的建造物や名所が多く、観光の起点として人気の高い都市でもある。日本からの直行便はなく、2又は3回の乗り継ぎを要することもあり、荷物や盗難のトラブルも多かったようである。筆者が出席した上記の会議は、ヨーロッパからの出席者を期待してシンポジウムに合わせて開催されたが、予約した部屋が用意されておらず、急遽代わりの部屋を頼んでも場所の案内が悪いなど、初日にしてシエスタのお国柄を実感してしまった。会場の用意が混乱したのは、このWG以外にも多くの会議が開催されている為とあきらめたが、ISOだけでなくCENのWGが多数開催されているのに驚かされた。

 シンポジウムはセビリア大学建築学部の建物で開催され、会場となる教室はともかくロビーや廊下が吸音不足でひどく騒がしいのが印象的であった。総計711件の発表があり、11のセッションに分かれ、12室でパラレルに4日間かけて進められた。一講演時間は20分単位で、講演開始及び終了はフラメンコのカスタネットやピアノ曲(講演中止を促す大音量)によって各室とも同時進行で仕切られていた。会場が多く聞きたい発表が重なるのはやむを得ないとしても、一つのセッションが最終時間帯と翌日の開始時間帯に分断されていたことは不評であった。筆者の関連ではCIB(国際建築研究情報会議)がオーガナイズする"Actual problems of Building Acoustics"というセッションが編成されており、ISOの会議で顔なじみの方々が発表者に名を連ねている。興味深い発表が多かったが、ヨーロッパで盛んに押し進められている「部材性能による空間性能予測方法の規格化」(EN 12354 Estimation of acoustic performance of buildings from the performance of elements)に関連した発表が多く、手法の細部を理解していないとついてゆけない。proceedingsのみならずabstractすら印刷されていない発表もあり、百聞が適わぬ今となっては、英語の理解力不足も相まって、「後で復習すれば」として一見の努力を怠ったことが悔やまれる。この他、"Acoustics of opera houses","Concert hall acoustics","Education in Acoustics"などICAやInter Noiseには無い切り口のセッションが組まれており、オーガナイザの尽力とセンスが伺われる。

 なお、上記のCIBについてまったく予備知識はなかったが、会場で聞いた情報では、Buildingsに関する大学・研究機関、試験機関の集まりで、年間何某かのshareを分担し運営されている組織とのことである。調べてみると、古くから有る国際的な組織で、分野によっては日本からも積極的に参画している様である。今回のシンポジウムの最終日に音響の会合があるとのことで、オブザーバ参加してみることにした。CSTBのRoland氏が主査とのことで、規格に関する審議、調査研究の動向報告及び情報交換の場となっていることに驚かされた。建築音響関連のISO規格がヨーロッパ勢中心に審議、立案されている原状を改めて実感することとなった。

セビリア大聖堂

-先頭に戻る-