2002/1
No.75
1. 迎 春 2. Popular Science 3. inter-noise 2001 in Hague 4. 第17回国際音響会議(ICA) 5. P T B 訪 問 記

6. 第14回ピエゾサロン

7. 多チャンネル分析処理器SA-01 8. ISO News 1998-2001
       <技術報告>
 多チャンネル分析処理器 SA-01

リオン株式会社 音測技術部 渡 辺 政 博

1.はじめに
 SA-01は "音"や"振動"用の多チャンネル型周波数分析処理装置である。本装置は1/Nオクターブバンド多チャンネル分析、FFT多チャンネル分析とそれらの関数演算などからさまざまな表示や処理ができる。SA-01には入力チャンネル数に応じて3機種が用意されており、2チャンネルから最大16チャンネルまで幅広い用途の適切な対応が可能となった。

 SA-01(写真)は、信号処理ハードウェア部とノートパソコンとが一組となって動作する仕組みとなっており、両者間はUSBで接続される。ノートパソコンに搭載されている専用分析ソフトウェアによって、信号処理ハードウェア部で周波数分析されたデータをグラフ表示したり、データをハードディスクに保存したり、グラフをコピー&ペーストしたり、プリンタに印刷することが可能である。

SA-01 外観

2.コンパクトさと拡張性
 本分析処理器は信号処理ハードウェア部とノートパソコンとの結合によって小型軽量化と低価格化が実現された。信号処理ハードウェア部は小型軽量化のために2チャンネル用、4チャンネル用、4チャンネルをベースとする最大16チャンネル用(4チャンネルステップで増設可能)の3種が用意され、また増設メモリユニット、接点出力ユニット、信号源ユニット等の実装によって機能の拡張が容易にできる。

3.標準分析機能による評価と各種専用測定機能の容易な拡張
 SA-01は1/Nオクターブリアルタイム分析およびFFT分析の両基本分析機能を標準搭載しているのが一つの特徴である。リアルタイム分析は機器の騒音レベルの評価、環境騒音の評価、労働安全衛生の騒音評価等に、FFT分析はラインスペクトルの評価をはじめとして多チャンネル間の伝達関数、クロススペクトル、相互相関、振幅確率分布、スペクトルマップ等の評価に最適である。

 信号処理ハードウェア部は基本的な分析処理機能およびオプションのユニット機能を持っており、これらの機能を使用したパソコン部のソフトウエア(Windowsのアプリケーションソフト)の開発で各種の専用測定装置の供給が可能となった。

4.時間波形収録機能
 入力信号の収録機能(音で言えば録音)を使用して、収録した信号を後からじっくりと分析することができるようになった(収録再生分析機能という)。

 参考として、収録再生機能を利用して人の声を録音し分析したときの画面例を示した。上のグラフが録音波形、下のグラフが周波数分析を行って表示したスペクトルマップである(ちなみに、このデータはNHKの女性アナウンサが「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。」(夏目漱石"坊ちゃん"より)を朗読している声)。

SA-01 画面例

5.SA-01の応用ソフト、ハード
 SA-01は顧客ニーズと共に有用な各種専用測定機能を順次開発整備されていくことで真に良い装置として提供可能になると確信しており、今後の進歩に期待して頂ければ幸いである。今年度は次の応用ソフトとハードのオプションが供給できる。

 ソフト
   空気音・床衝撃音遮断性能測定ソフト
   半無響室法音響パワーレベル測定ソフト
   コンパレータソフト
   インテンシティソフト(MEスコープ製)
   モーダル解析ソフト(MEスコープ製)  

 ハード
   信号源ユニット
   接点出力ユニット
   増設メモリユニット

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