1983/9
No.21. インターノイズ83に参加して 2. 国際音響会議(ICA) 3. 音響的手法による航空機機種別の試み 5. 植込型人工中耳
6. フランス新幹線・TGV 7. CEPの騒音研究施設 8. 土地利用の適合性を決定する環境条件 ![]()
フランス新幹線・TGV
フランス線TGV(Le Train Grande a Vitesse)は、パリと南フランスを短時間でむすぶことを目的として1976年に建設が開始され、1981年秋一部(St.Florentin〜Sathonay間)が完成した。これによって在来線も使ってパリ〜リヨン間の運行が開始され、従来3時間50分であったのが2時間36分に短縮された。なお、途中の分岐点を通じてTGVによるパリ〜ジュネーブ間の直通列車もある。現在、パリ南方のComb-Ia-Ville〜St.Florentin間は、第2期工事として今年秋開通の予定である。
計画としては、パリ〜ボルドー間の大西洋岸線がある新線を使った試運転において、1981年2月26日時速380qの記録をつくり、300q/hまでの安全性は確保されたが、開業当初は260q/hで運行され現在270q/hになっている。第2期工事が完成すると、在来線パリ〜リヨン間512qは425qに短縮され、南仏とパリ間の所要時間は大幅に短縮される。
車輌は現在10輌編成で客車8輌、前後2輌は動力車である。電源は交流50Hz、25KVでパンタグラフ1個で集電するため高圧母線が屋根上に渡されている。
将来共、パリ、リヨン近郊は在来線(最高速度160q/h)を使用することと、途中住宅密集地はほとんどないので騒音対策として特別のことは行なわれていない。
なお、フランスでは鉄道騒音に対する規制はなく、現在欧州各国(EC)の間で軌道から25mで95dBA以下にすることで協議が進められている。
建設に当って環境省、文化省、農林省と協議してルート選定に当ったが、主な点は農地における家畜の通路、森林地帯の野生動物の生態変化等に注意が払われ、森林地帯をできる限り避けたとしている。高架構造はほとんどなく、盛土または切り上で、1q毎に最少1個所の通路をつくることや水路の確保に重点がおかれている。また新線建設と同時に新しいパリ〜リヨン間のケーブル設置、新線に並行する高速道路の建設も同時に行うよう配慮された。建設については極力経費を節減することとし、そのため軌道の勾配の限界(35/1000)を大きくとってトンネルをなくしたことなどが特徴である。
なお、軌道はバラスト構造である。