1983/6 No.1
1. ニュース発刊にあたって

2. 低周波音の暴露実験室について

3. 縮尺模型実験 4. 等価騒音レベルの測定について 5. 作業環境における衝撃騒音の評価・計測方法について
6. 米国環境庁(EPA)の騒音規制に関する政策変更について
    
 ニュース発刊にあたって

理事長 五 十 嵐 寿 一

 財団法人小林理学研究所は、昭和15年に設立され物理学に関する数多くの研究実績を有しておりますが、戦後は主として音響学を中心とした研究を特徴として運営されております。戦時中当研究所で開発されたロッシェル塩結晶の音響分野への応用製品を製造することになり、現在のリオン株式会社を設立いたしましたが、リオンは当研究所の開発による製品を製造することから発展し、音響計測器をはじめとして、補聴器、医療計測器等幅広い製品を製造販売することになった経過はご存知の通りであります。圧電材料については、ロッシェル塩に続いて各種圧電セラミック材料を開発し、振動計ピックアップ等に応用されております。また昭和30年代はじめには、残響室を建設し音響材料の吸音率、遮音率測定方法を確立し、現在広く使われている音響材料の開発に貢献して参りました。さらに建築音響、騒音、振動問題については、縮尺模型実験による騒音予測、公害用振動計の開発をはじめ低周波音実験室の完成等により、音響振動分野において多くの研究成果をあげております。一方、補聴器については補聴研究室において、聴覚障害によってお困りの方を対象に、補聴器の開発をすすめ、聴覚障害乳幼児に対しては、補聴器を用いた言語訓練を行う母と子の教室を設けて広く社会に貢献することを心がけております。また現在、騒音、振動については基礎研究を進めるかたわら、予測、調査、防止対策等について各方面からの御依頼をうけて委託研究調査も進めております。

 今回、新しい試みとして小林理研ニュースを発行し、平素御援助戴いております各方面の方々に研究所の進めております研究の概要を御報告するとともに、各種海外文献に発表された新しいニュースの御紹介、また技術報告では、最近発展の著しい計測技術の一端として、研究所と関連のあるリオンの開発した新しい計測器を使ったデータ処理の一部を掲載することにいたしました。

 この資料が今後各方面においてお役に立つよう極力努力をいたして行く所存でございますので、何分の御指導をお願い申しあげます。なお、小林理研ニュースは季刊として発行いたしますので、内容についてのご意見・御要望などを戴ければ幸に存じます。

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