1983/6 No.1
1. ニュース発刊にあたって

2. 低周波音の暴露実験室について

3. 縮尺模型実験 4. 等価騒音レベルの測定について 5. 作業環境における衝撃騒音の評価・計測方法について
6. 米国環境庁(EPA)の騒音規制に関する政策変更について
       <技術報告>
 等価騒音レベルの測定について

 リオン(株)音測技術部 大 熊 恒 靖

 等価騒音レベルLAeqT(以下Leqと略す)の測定器には、(1)積分騒音計、(2)一定時間間隔でLeqを計算し、その結果を記憶するデータロガー、(3)騒音計の出力を用いてLeqの計算と記録をするデータ処理装置等がある。
 これらの測定器の重要事項であるサンプリング及び測定例について以下に述べる。

1. サンプリング
 Leqの定義は、A特性音圧の2乗積分値を測定時間で平均する式によって与えられる。一般の測定器では、騒音計の規定による実効値検波の時定数によって時間加重されたA特性音圧の自乗平均値を求める。この場合、サンプリング周期を時定数以下及び測定時間を時定数より十分長くとれば2乗積分法との差は生じない。
 実効値検波部の応答は入力信号の継続時間、時定数、測定時間が関係するが、継続時間が1msの衝撃信号であっても測定時間を10秒程度にとり、サンプル数又はサンプリング周期を適切に設定すれば十分な精度でLeqを求めることができる。継続時間1msのパルス信号があって、測定時間を10秒に設定した場合の時定数とサンプリング数による誤差について図1に示す。この例の測定時間10sはIEC規格案“Integrating-averaging sound level meter”で推奨するプリセット最小時間、またパルス信号の継続時間1msは同案の試験信号の最小時間である。図1により時定数0.1s(FAST)ではサンプル数500個、1s(SLOW)では50個であれば誤差を0.5dB以内にすることができる。

図1 時定数サンプル数による誤差

 実際の騒音についてFASTの時定数を用いた実験例を図2(上図は騒音レベル、下図はサンプリング周期1msによって等出したLeqを基準としたときの誤差範囲)に示す。同図ではサンプリング周期が50ms程度であれば衝撃騒音であっても誤差を無視できる。これらの結果から測定器のサンプリング周期は30〜50msにとられることが多い。道路交通騒音の場合には、測定時間を5〜10分にとれば、5秒間隔でも1dB以内の誤差で測定できる。

図2 サンプル周期による誤差

2. 測 定 例
 道路交通騒音の測定例を図3及び図4に示す。図3は、ディジタル騒音計NA-31を用い、サンプリング周期0.3秒、実測時間5分、休止時間5分で1週間の連続測定を行った例である。図4は、データロガーNB-11Aを用い、サンプリング周期0.2秒によって10分間のLeqを24時間の連続測定を行った例である。

図3 ディジタル騒音計による測定例
 
図4 データロガーによる測定例

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