1989/4
No.24
 1. ニュース発刊7年目を迎えて  2. 平成元年を迎えて 3. 航空機の音 (昭和初期―昭和43年)  4. 耳栓 (Earplug) -耳塞ぎ餅の話し-  5, チタン酸鉛系超音波材料の開発と超音波トランスデューサー
 6. 建築物の遮音性能測定機能をもった騒音計 NA-29
   
 平成元年度を迎えて

所 長 山 下 充 康

 六十有余年続いた昭和が幕を降ろし元号が平成に変わって早くも三ヶ月、例年どおりの年度末の慌ただしさが嵐のように吹き抜けて、平成元年度を迎えました。かれこれ半世紀が過ぎようとしている小林理学研究所の歴史の中でも新元号のもとでの今年度のスタートには諸事新たなりといった気分で、何かしら例年とは異なる新鮮な息吹のようなものを感じます。小林理研の事業目的である「理工学の分野における研究を推進し、その成果をもって広く社会に貢献すること」を考えるとき、新年度の初めに当たって思うのは、昭和の時代に培われた研究所の機能と実績を踏まえて、将来的にわれわれが担うべき役割の大きさです。

 一般会計の政府予算は前年対比+6.6%、60兆円の大台に乗った平成元年度は社会経済面でも大きな変貌が予想されます。その中にあって、小林理研が公益法人としてなお一層、社会に貢献するためには様々な要求に対する的確で即応的な対応が望まれます。これに応えるべくさらに充実した体制の整備と日々の研鑚を以て、これまでに培われた研究資産の有効

な活用と新たな研究成果の蓄積を積極的に心がける所存です。