1987/7
No.17
1. 小林理学研究所における音響、振動関係の研究室紹介 2. 騒音振動第1研究室 3. 騒音振動第2研究室

4. 騒音振動第3研究室

5. 建築音響研究室

6. 作業環境騒音に関するISOの最近の動向 7. クリーンエアの周辺
      小林理学研究所における音響、振動関係の研究室紹介
 建築音響研究室

小 川 博 正

 建築音響研究室は音響材料の各種性能試験の測定を業務として主に担当しております。特に残響室を用いた音響性能試験は昭和30年のはじめに第一残響室が完成し、吸音率試験の測定を開始して以来今日まで一貫して行ってまいりました。現在では透過損失用の残響室まで含めると第七残響室まで拡張され、音響材料の吸音率試験、透過損失試験は勿論、音響パワーレベル試験の測定も含め効率的に利用されております。

 この小林理研の残響室の歴史については、昨年のニュース(1986年7月No.13)で紹介いたしましたので、今回はこれらの残響室を用いた音響試験の具体的な内容について簡単に説明させていただきます。

 建築音響研究室の設備の概要を図に示します。

 第一残響室は主に吸音率試験用として使用しておりますが、その他に音響パワーレベル試験や拡散入射条件を利用した小型建築物(無響箱、縮尺模型構造等)の遮音性能試験などの測定も行っております。

 第二残響室は現在、低周波音実験室に改造され、被験者実験や建具の応答実験など低周波音に関するいろいろな実験に大いに活用されています。

 第三残響室は第四残響室と一対で、音響透過損失の測定に用いております。開口部は3×3m(鉛直)で、主にサッシ、ドアなどを測定対象とし、現物の寸法にいつでも開口部の調整が行えるよう、調整用のPC板を用意してあり、細部の調整についても対応できるよう材料の用意や職人の手配に万全を期しております。

 第四残響室と第五残響室は水平面に開口部を持っており、主に材料自身の透過損失試験用として利用しています。現在は910×1820mm (3×6尺)の開口部に調整し、壁構造としての構成部材の測定や、最近注目を集めている軟質遮音シートなどこの開口部で測定を実施しております。

 第六残響室と第七残響室は、壁構造の透過損失試験を行えるよう、高さ3m幅3.7mの大きな開口部(鉛直)を持っています。住宅の高層化に伴う壁構造の軽量化ということから、この開口部を用いての試験の要求は非常に増加しておりますが、実験の省力化・効率化を図り敏速な対応を心掛けております。また性能向上への開発研究の相談についても従来通り応えられるよう、態勢を整えております。

 残響室における吸音率および透過損失試験の他に、音響管を用いた垂直入射吸音率試験、ダンピング材料の損失係数測定なども、材料試験の一環としております。

 またこれら通常の業務として行う試験以外にも、音響材料関係の試験については、対応できるよう心掛けております。

建築音響研究室主要設備

1. 残響室法吸音率測定設備

 第残1響室 不整形で内壁面は人工石研出し
         容積513m
3、表面積382m2、床面積72m2       
         空室時の残響時間14sec(1000Hz)

2. 音響透過損失測定設備

3. 垂直入射吸音率測定装置

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