1987/1
No.15
1. アマゾンで出会った蝉の大合唱のことなど 2. 古文書「ヘルムホルツ著 音感覚」の発見 3. 2-マイクロホン法を用いた低周波数領域における吸音率測定 4. 温度補償型加速度ピックアップ材料の開発

5. カナダにおける航空機騒音モニタリングシステム

 

 カナダにおける航空機騒音モニタリングシステム

 この報告書はカナダバンクーバー空港のMr.Simpsonによって1985年に作成されたもので、モニタリングの目的、システムの構成及び設置場所選定の方針等が述べられている。

1. はしがき
 1975年、バンクーバー空港の騒音調査の結果として、空港騒音について連続的にモニターすることによって、空港騒音を減少する方策、騒音の規制等に関する政策をたてることを勧告している。
 1979年、カナダのPiarson空港に最初のモニタリングシステムが設置されこれをもとにカナダのモニタリングシステムを開発することになった。バンクーバー空港においては、1981年空港周辺地域の調査を実施し、モニタリングシステムを設置する場所の選定を行った。この選定に当っては、移動測定車を使用し各候補地について予備的な騒音調査を1日、24時間の騒音暴露をべースに実施した。航空機騒音モニタリングシステムは基本的に次の3つから構成される。
(a)RMS(remote monitoring site)の数 (b)データ転送システム(c)中央制御官制システム2. RMS(モニター点)の選定条件
 RMSの設置場所は物理的な騒音暴露量と環境上の要求、空港における航空機運航の量、その方向等を基本に次の点について考慮される。
 ◇飛行コース近傍 ◇騒音の影響を受け易い地域 ◇騒音暴露レベルが大きいと予測される地域 ◇航空機以外の騒音 ◇交通の便 土地の所有権 安全性 ◇電源、電話線の利用可能性 ◇ICAO Annex16、騒音証明測定地点付近 ◇離着陸する航空機、滑走路使用方法の判別できる地点 ◇地形、建物等の障害の有無

2-1. 飛行コース近傍地点
 主飛行コース直下のRMSはその地域における最大の騒音暴露レベルの結果を示す。滑走路延長上で航空機を無線誘導する直前の地点が好ましい。

2-2. 騒音の影響を受け易い地域
 騒音の影響を受け易い住宅地、公益施設、娯楽場近傍はRMSとしてもっとも適当である。これらの地点は長期間の土地利用計画のため、また公共の福祉の上で望ましい地点である。

2-3. 騒音暴露レベルが大きいと予想される地域
 騒音暴露量が現在大きい地点、また将来大きくなると予想される地域の測定点は、騒音対策の効果を示すデータを累積して与えることができる。

2-4. 航空機以外の騒音
 RMS予定点における航空機以外の騒音レベルは、航空機騒音を識別するためにできるだけ低いことが必要である。暗騒音の低い地点は航空機以外の原因で短い時間間隔で発生するような騒音の影響を減少することに有効である。

2-5. 交通の便 土地の所有権 安全性
 RMSではその施設を定常的に維持しなければならない。従ってその場所に容易に行けること、またその場所は公共の所有であることでも重要である。

2-6. 電源、電話線の利用可能性
 それぞれのRMSは電源、電話線の利用が容易に可能でなければならない。

2-7. ICAO Annex16、騒音証明測定地点近傍
 ICAOの騒音証明測定地点近傍にRMSを設定すれば測定されたデータを直接ICAOの騒音基準と比較することができる。この基準は着陸については滑走路端から2000m、離陸については滑走開始地点から6500m、また滑走路測方の地点450mにおける騒音を測定することになっている。しかし一般に、ICAOの測定方法の通りに実施することは困難なので、航空機騒音規制のためには必ずしもこのような地点を特に選定する必要はない。

2-8. 離着陸する航空機、滑走路使用方法の判別できる地点
 離着陸する航空機の区別、使用する滑走路の判定ができれば、特定の騒音と発生した航空機騒音を識別することができる。飛行コースに沿ってRMSを設定することはこれらの目的のために有用である。

2-9. 地形、建物の障害の有無
 モニター地点を選定するに当たっては、建物や地形によって騒音を反射しまたは遮蔽し、測定結果に影響を及ぼすことのないよう、これらの近傍に設定することは避けなければならない。

3. バンクーバー空港周辺のRMS予定地
 以上の点を留意し各候補地について事前の調査を実施し、固定測定点として19点が選定された。システムとしては25地点まで増設することができる。19地点の地域の特徴と、それぞれの地点における騒音源及び各地点における騒音測定の結果と地点の詳細図がこの報告書に含まれている。

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