1985/9
No.10
1. 老年と聴力

2.低周波音に対する可聴音のマスキング

3. 軽量高感度バイモルフ式圧圧電加速度  4. 液中微粒子計の開発 5. 土地利用計画の指針
     
     
米国における騒音環境に対する
 土地利用計画の指針

 米国運輸省は1980年6月、米国政府の各機関が採用している騒音対策に用いられる騒音評価指数について、総合的な指針をまとめそれらの整合性を示している。*1

騒音ゾーンの分類(騒音ゾーンに対応して土地利用が考慮される)

注:*1 Guidelines for Considering Noise in Land Use Planning and Control (U.S.Department of Transportation, June 1980) Federal Interagency Committee on Urban Noise
  *2 FHWA(米国高速道路建設局)はL
10の代わりにLeqを用いることを検討している。 重量車両が全交通量の10%で、夜間(22:00〜7:00)の交通量が、24時間平均の交通量の15%以下であれば、LeqはLdnと等価になり、(L10-3)dBになる。
  *3 航空機騒音に用いられる騒音指数(Noise Exposure Forecast)
  *4 HUD(House & Urban Development)都市住宅建設局
  *5 土地利用の対象(防音工事を含む)

ISO/DIS 7196
"Acoustics-Method for discribing infrasound"の検討会
(インターノイズ84〔ホノルル、1984.12.5〕で超低周波音および低周波音のセッションの後、山田(山梨大)、時田(小林理研)の提案で行ったISO/DIS 7196の検討会の内容を、座長をつとめたH.Mφller (Aalborg大学、デンマーク)が整理してくれたもの概要である。)
 最初にDr. P. V Brüel (B&K) が現在このDISはNational Committeesを通じて各国の意見を聞いており、正式にはその返答待ちであるがここで出た意見を、この提案を扱ったISO TC 43/SC 1 study Group Eに伝えると発言。(Dr. Brüel はこのE groupのメンバーである。) また提案内容と2特性、(G1、G2)の概要を簡単に説明した。
 この検討会では次の6項目について討論が行われた。

1. 周波数範囲
 日本からの提案にもあるように、多くの苦情が可聴域の20〜100Hzの音を超低周波音に関連させていることが多く、このことはDr.Brüelも承知しているが、20〜100Hzの領域は、不十分ではあるがA特性でカバーされている。そのため、周波数範囲の重複する特性を新規に提案するのは行政的(politically)に無理で、20Hz以上はこの提案からは省くべきであろうとの発言があった。Dr. Mφller はloudness curveを示しながら、20Hzまでは域値の線に平行だが、20Hz以上では拡がってしまうので、この領域を含めるとレベルによって特性を変えなければ、一つのWeighting curveで評価量を出すことは出来ないと主張。
 また、G1、G2の低域のカットが1Hzについては、特に異論は無かった。

2. 曲線のスクープ
 Dr. Brüel からG1、G2の2つの曲線の由来について説明があった。2つの曲線が出てきた頃は、感覚域値の傾斜が約12dB/oct(超低周波音領域)であることは知られていたが、そのころスエーデンでは2〜20Hzの音圧レベルで110dB 8時間という値を作業環境での規制値として出してきた。この値は、ビルの周囲の風で、室内で容易に観測される値であり、この数値は超低周波音の過大な影響についての風聞によったものであろうと説明。G2はこのG1の傾斜と平担特性との中間としてできた妥協の産物であり、従って科学的な根拠がないとの説明があった。
 Dr. D. L. Johnson (Larson-Davis Laboratories, U. S. A .) はG2をこの規格に入れれば、明確に示さなければならない規格の科学的根拠が失われるとしてG2には反対をした。

3. 帯域外の遮断特性
 20Hz以上の遮特性について、G特性の影響が可聴域に入らないように急激な遮断が必要であるが、6ポールもの特性が必要かとの疑問に対して、Dr. Brüel は支持を表明した。

4. 基準周波数または利益
 基準周波数としては1KHzが良いのだが、この場合は10Hzが最良と考えた。Dr. Young は16Hzを主張したが、20Hz以上のカットを考えるとこれが良いとして、Mφller とともにBrüel の意見が通った。

5. 耳のダイナミックレンジ
 Dr. Mφller がこの問題を提起した理由として、低周波域の耳のダイナミックレンジが非常に狭いことを数値をあげて説明した。ソフトなノイズで95dB(G1)、非常に大きな気になる騒音で115dB(G1)となり、僅か20dBの幅しかない。このことは数値を使う上で非常に重要なことであると主張。
 Dr. Johnson は規格の中にテーブルでこのことを示すべきであると発言している。またDr. Brüel も Appendixで等ラウドネス曲線を示し、僅かなレベル差が大きな感覚差になることを示すのが良いとしている。
 Dr. Mφller は横軸がG1で縦軸をアノイアンスやラウドネスの量にとった図を示すことを提案した。縦軸は、PhonやPNdBで校正されるようなものがほしいと述べ、これについてはDr. Brüel も賛成した。

6. 平均化時定数
 Dr. Brüel は、時定数は騒音計の時定数をもとに、A特性とG2特性との周波数空間の差から導いて提案されたものであると説明。両者の低域の比が25になるので、A特性の125ms(fast)と1s(slow)の25倍で3.1sと25sとがG2に使われることになるとし、また、同じような周波数領域の振動計測器の時定数について検討した結果から8倍で充分な事を見出したとしている。即ち1sと8sである。Dr. Young から二つの時定数の必要性についての質問があり、Dr. Brüel とDr. Mφller が実際に二つが必要なことを変動音の例をあげて説明した。
 最後に、H. Mφller の討議外のコメントとして、"提案規格にはAnnexとして、角型時間窓(rectangular time window)を入れてほしい。必要な長い設定時間では、RC型の積分器は推奨されないからである。時間窓は10sよりも短くないことが望ましい。"が加えられていた。
 (以上のような内容の討論であったが、この内容がDIS 7196に反映されるかどうかは未定である。)

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