1996/4
No.52
1. もうひとりのエカテリーナ 2. 航空機騒音問題の歴史(2) 3. 計 算 機 械 4. 騒音振動レベル処理器SV-76
       <技術報告>
 騒音振動レベル処理器SV-76

リオン株式会社 音測技術部1G 武 田 信 彦

1.はじめに
 特定工場等及び特定建設作業によって発生する騒音・振動は、騒音規制法及び振動規制法において規制されている。また、環境騒音、新幹線鉄道騒音及び航空機騒音は、環境基準によって基準が定められている。それぞれの測定方法と評価値の概要を表1に示す。
 なお、道路交通騒音の評価値は、現在、中央値L50であるが、等価験音レベルLeqの導入が議論されている。この度、これらの測定に多用いただいている騒音振動レベル処理器SV-73の機能を拡張し、また操作性を優先した新製品SV-76を開発した。

表1 騒音・振動の種類による測定方法

2.騒音振動レベル処理器SV-76の特長
 騒音振動レベル処理器は、騒音計又は振動レベル計を前置機器として、騒音規制法、振動規制法、環境基準などで定められた測定方法により、長期間の騒音・振動レベルが自動測定できる測定器である。SV-76は、当社の従来製品SV-73の後継機として、操作性を最重点に設計されており、また、当社の従来の全ての騒音計及び振動レベル計が接続できる2チャンネル騒音振動レベル処理器である。

図1

 図1は、SV-76の外観写真である。操作パネル、表示パネルを前面に置くことで、操作性に柔軟さを加味している。左側サイドパネルに、リモートコントロール端子(レベルレコーダと連動するときの端子)、外部同期端子(連動させる他のSV-76との同期端子)、外部電源端子、インターフェイス端子等を配置している。バッテリーは、右側面に収納する。
 図2にブロック図、図3にLCD表示写真を示す。以下にSV-76の特長を述べる。

図2

 
図3

2-12チャンネルのデータを同時測定
 騒音規制法、振動規制法及び騒音に係わる環境基準によって定められた測定方法により騒音及び振動レベルのデータ処理を行い、中央値等5値、Leq、Lmax、Lmin、累積度数曲線、及び度数分布の自動測定結果を印字出力する。印字出力は次の3つから選択できる。
・演算値(5値、Leq、Lmax、Lmin
・演算値+瞬時値
・演算値+累積度数曲線、度数分布
 動特性の選択は各チャンネル独立しているので、騒音レベルと振動レベルの処理を同時に行うことができる。
 図4は、道路端で測定した騒音レベルと振勧レベルの測定結果を印字した例である。

図4

2-2.同期による多チャンネル同時測定
 SV-76は、外部同期端子(マスタスレイブ方式)を接続することにより複数台を同期して、3点以上の同期測定が可能である。また、リモートコントロール端子によってレベルレコーダを同期して、本器が測定中の騒音レベルや振動レベルのアナログ記録ができる。

2-3.レベルパターンの表示と記録
 バックライト付大型LCDにサンプリング間隔0.1秒、最大10分間のレベルパターンを表示することができる。また、レベル波形表示上に規制値等の任意レベルラインを表示することができる。表示されたレベルパターンは、内蔵プリンタによって記録することができる。
 図5はレベルパターンを記録した例である。

図5

2-4.測定開始と終了時刻の設定
 測定開始時刻と終了時刻は、月・日・時・分までの任意設定ができ、設定後に自動測定を開始し、設定した終了時刻に測定が終了する。

2-5.測定条件は任意設定とプリセットの2系統選択
 測定間隔は、15、30、60分のプリセット値から選択するか、1〜99分の間を1分ステップで任意に設定することができる。サンプル数は、50、100、500個のプリセット値から選択するか、100〜9900個の間を100個ステップで任意に設定することができる。サンプリング周期は、0.5、1、5秒のプリセット値から選択するか、0.1〜9.9秒の間を0.1秒ステップで任意に設定することができる。 ただし、Leq、Lmax、Lminのサンプリング周期は、10ミリ秒で固定されている。これらの設定によって、広範囲の測定条件を満足することができる。

2-6.シリアルイシターフェイス内蔵
 測定値をインターフェイス経由でコンピュータに読み込むことができる。また、コンピュータからのリモートコントロールで自動計測・無人計測が可能である。

2-7.ダイナミックレンジは80dB
 80dBのダイナミックレンジを備えているので、例えば昼夜にわたる測定でも測定レンジの切り替えが不要である。

2-8.記録紙巻取器を内臓
 記録紙は、巻取器によって内部で巻き取られるので、ケースの蓋をすることで防塵対策となる。また、暗い所でも印字が読みとれるように記録紙照明ランプを備えている。

2-9.商業電源使用時に内蔵電池で停電保証動作
 SV-76の電源には、アルカリ乾電池(単一乾電池6本)、充電式バッテリーパック(DP-11、DP-1240)、自動車用バッテリまたはAC100V(ACアダプタ)のいずれでも使用できる。
 アルカリ電池の連続使用時間は30時間、バッテリパックDP-11では15時間、DP-1240では41時間である。
 AC100V使用時に電池を入れておけば、電池で停電保証の動作をするので、長時間の測定中の停電に対して有効である。

3おわりに
 近年の新型騒音計、振動レベル計などでは演算機能を有し、L50等の5値、Leqなどの測定が可能である。ここで紹介したSV-76は、騒音規制法、振動規制法、環境基準などで定められた測定を長期間にわたって自動的に行うレベル処理器であるが、用意したアプリケーションを利用すれば、それらの測定をさらに容易に行うことができる。機会があればアプリケーションソフトの紹介をしたい。

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