1988/4
No.20
1. 巻 頭 言 2. 環境基準(騒音)の設定経過(その2) 3. WECPNLについて 4. 水鉄砲形周波数分析器 5. 透光性強誘電体セラミックス(BCN-PZT)の物性
       
 環境基準(騒音)の設定経過(その2)
     II.航空機騒音に係る環境基準
五 十 嵐 寿 一
1. はしがき
 前号で述べたように航空機騒音は新幹線騒音とともに特殊騒音として扱い、一般騒音とは区別することになっていた。一般騒音の第一次案に道路騒音に係る基準を加えて第二次案を作成するに当り、高速道路騒音についてはこれが特殊騒音に当たるので、航空機騒音を含めた特殊騒音の取扱いについて自由討議が行われた。

(a) 特殊騒音に対し一般騒音と同様な考え方が可能か
(b) 許容基準、補償基準のようなものになるか

(c) 屋外騒音の基準ではなく屋内基準のようなものになるか

(d) 一般基準の数値を上げて適用することになるか  

(e) 特殊騒音は間欠音と考えられるので、継続時間ピークレベル、頻度をどのように考えるか、JISの"騒音レベル測定方法"はその制定が古く改訂の必要もあるので、ISOを参考とし音のエネルギーを基本に考慮してはどうか

(f) 土地利用を考慮する必要があろう  

(g) 基準は新設家屋に適用できるとしても、既設家屋については防音設備に対する補償が必要になろう

(h) 都市計画はゾーン、紛争処理はスポットとなるかもしれない

(i) 紛争に対して基準が使われるか、基準は損失補償の意味はないので法律的には使われないが、地裁で使われる可能性があるかもしれない

(j) 基準達成の方法については、技術的問題を指摘しておき、その適用は審議会、行政に任せるということではどうか
等の議論が行われた。

その後、昭和44年12月、ICAOにおいて航空機騒音の特別会議が開催され、筆者がこれに出席したので、翌年の委員会においてその会議の内容として、航空機騒音の測定方法と評価指標、航空機の騒音証明の手順と騒音基準、空港周辺の土地利用、騒音軽減の為の運行方法等について報告した。

2. 航空機騒音の環境基準
 航空機騒音の環境基準の審議は、厚生省の一般騒音に係る環境基準の案を部会に答申を行った後、部会小委員会の要請もあって昭和45年6月から本格的に進められた。委員会の作業はICAOの報告書(1)について航空機騒音問題の現状を把握することから開始され、ついで次の項目について各種資料をもとに審議が行われた。

 環境基準の性格、(航空機騒音に適用できるかどうか)

 航空機騒音の影響、航空機騒音の評価指標とその測定方法、航空機騒音対策、基準値としての数値

(1) 環境基準の性格:環境基準の性格については、一般環境騒音に係る環境基準の審議の当初から議論が行われたが、航空機騒音についても同様な基準でよいか、また基準は新設の空港にはできるとしても、現存の空港、基地に適用できるかどうか等であった。しかし環境基準はあくまでも人の健康や生活環境の保護を主体に考え、達成の期間、方法は行政にまかせるとする意見と、基準はその達成を前提とするので、達成の方策についても委員会において検討を行うべきとする意見があったが、結局達成の方策も考慮しつつ審議を進めることになった。
(2) 航空機騒音の影響:航空機騒音の影響として、各種の文献(2)について検討されたが、特にそれまでに実施された国内、海外の社会調査、大阪(3)、横田(4)、ロンドン(5)等のアンケートの結果および海外各国が採用している航空機騒音の評価指標について比較検討が行われた。また実験室で行われた騒音の影響に関する調査、研究報告も重要な資料となった。

(a) 聴力に対する騒音の影響:聴力については、一般環境における騒音の影響として検討が行われ、その際の文献は前号に掲載したが、航空機騒音については騒音レベルも大きく、とくにその影響が考えられることから、聴力への影響として実験室において実施されたTTS(一時的難聴)の試験結果(6)をもとに検討された。実験は105〜110dBの航空機騒音(CV-880)について行われたが、これはNNIに換算してNNI:50でTTS5dB、NNI:60では10dBになるという結果で、TTSがすぐ永久難聴につながることでなくとも、なんらかの影響が予想されるということから、とりあえずNNI:55を聴力に対する影響のあらわれる域値とすることになった。
(b) 航空機騒音の生理的影響:海外の文献、厚生省委託の航空機騒音影響調査報告書(7)、新たに行われた航空機騒音のレベル、頻度の生理的影響(8)及び睡眠に及ぼす影響(9)等の文献について検討が行われた。
(c) 心理的影響:EPA(10)(米国環境庁)及びK.D.Kryter(11)をはじめとする文献の紹介と間欠音のうるささ(12)及びその継続時間の影響(13)についての実験室研究の結果が報告された。
(d) 社会調査の比較:航空機騒音に対する影響として、空港周辺についてのアンケート調査が実施されており、大阪、横田基地及びロンドン、ヒースロー空港の測定結果についてNNIを指標として比較が行われた(14)

(3) 評価指標と測定方法(15)(16)(17):評価指標についてICAOは、当時各国がそれぞれ異なった指標を使用していたので、これを統一する指標をISOに委託していた。航空機騒音特別会議においてその提案に基づいて、空港周辺の土地利用に用いる指標として(W)ECPNL(ISOはのちにWECPNLの代わりにLpn.eqを単位とした)を採択し、今後航空機騒音の土地利用に関する指標を新しく設定する場合は、WECPNLとするよう勧告していた(1)。したがってわが国における航空機騒音の環境基準としても、このWECPNLを採用するか、あるいはロンドン空港の社会調査ではNNIを指標としており、大阪空港周辺の調査にもNNIが用いられ騒音の影響との関係についての資料も多いので、NNIとした方がよいという意見があった。また指標をこの何れかにするとしても、測定方法としては騒音計を用いたdB(A)が望ましいので、その場合の換算の方法をどのようにするかについて議論が行われた。結局、航空機の国際性を考慮するとICAOのWECPNLとした方がよいということと、NNIとWECPNLは運行回数について算出方法が若干異なるだけで、運航回数をある範囲に限定すれば、本質的な差はないと考えられること、その後の英国における調査の結果(5-b)では、運航回数Nの対数の係数が状況によって異なる場合のあることが報告されたこと、また当時航空機製造会社および米国航空局の発行している航空機騒音の資料が殆んどPNLを基本としている事情もあったので、結局WECPNLを採用することになった。ただしWECPNLとした場合には、PNLを算出する際、周波数分析を必要とし、騒音計によって簡単に測定することができないので(NNIについても同様)騒音計の結果から近似的にWECPNLを求める方法として、次のようにすることになった。

(a) 測定単位:ICAOの報告に、PNLはジェット機については近似的に、
PNL≒dB(A)+13となることが示されているので、騒音計を使用して補正を行うことにする。これについては日本における実測の結果でも補正量は、11〜14で、平均として13になることが確認された。

(b) 継続時間:ICAOのWECPNLは航空機騒音の継続時間も考慮にいれているが、実効継続時間は平均としてほぼ10秒と考えられること、空港近傍ではこれが5秒以下となりマイナスの補正をすることになるが、この地域はとくに騒音レベルが大きいので、補正を省略することはこの地域を保護することになる。従って測定も簡単になることもあって継続時間補正は除外することになった。しかし空港から遠い地域では、継続時間が10秒以上にもなるが、その場合は騒音レベルが比較的小さく、補正についてもプラス1〜2dB程度と考えられるのでこれも考慮しないことになった。
(c) 時間帯補正:一般騒音の環境基準において時間帯を分けて基準値を設定してること、またICAOにおいてもECPNLに夕方(19:00-22:00)5dB、夜間(22:00-07:00)10dBの補正を行うことにしているのでこれを採用するが、この場合も計算の容易さから夕方の5dB加算の代わりに夕方の機数を3倍、また夜間は10dB加算の代わりに機数を10倍として計算する(ICAOの報告書には時間帯を2分割とし夕方を除く方法も提案している)。この様な検討の結果、航空機騒音についてはその評価指標をWECPNLとするが、その算出方法については近似的に下記のようにすることになった。

本来のWECPNLはECPNLに時間帯補正をしたもので、

ここで とし

これに上に述べた方法で時間帯補正をするとWECPNLの算出式となる。

 N1,N2,N3はそれぞれ日中、夕方、夜間の機数   
  (1日:86400秒 10log 86400=49.4=50)

*注:この航空機騒音に係る評価指標WECPNLは、A特性音圧レベルを基本とした音響エネルギー量に基づくもので、等価騒音レベルに常数13を加えた量である。従って環境基準における(W)ECPNLは、本質的に時間帯補正をした等価騒音レベルと考えてよい。(但し継続時間は10秒とする)

(4) 航空機騒音対策:航空機に関する環境基準を設定した場合の対策については、達成の可能性及びその期間について検討が行われた。このためにICAO、FAA(米国航空局)航空会社等の資料について、下記の項目ごとに検討し、ほかに運輸省航空局の航空機騒音対策の方針について説明を受けた。

(a) 新型機の騒音軽減の可能性:新型機の導入計画と騒音レベルの低下   
(b) 運行方法による騒音軽減:カットバック方式、優先滑走路方式等   

(c) 騒音コンターの作成方法と騒音の将来予測   

(d) 土地利用の方法と防音工事の効果:海外の資料により土地利用の実態について検討が行われた。   

(e) 国内各空港の現状と将来予測:騒音コンターをもとに検討が行われた。

また委員会として昭和46年5月には横田基地の見学を行った。

3. 航空機騒音にかかる緊急指針
 その後、昭和46年7月に環境庁が発足し、厚生省の生活審議会は中央公害対策審議会として発足した。審議会には騒音・振動部会が設けられ、これに対して昭和46年9月27日環境庁長官より次の諮問があった。

"特殊騒音に係る環境基準の設定に当たっての基本原則、基準値、測定方法、その他環境基準の一環として定める事項及び環境保全上緊急を要する航空機騒音対策について、当面の措置を構ずる場合におけるよるべき指針はいかにあるべきか"

部会においては厚生省における従来の審議経過から、さらに検討を行うことが必要であるとし、特殊騒音専門委員会を設置してこれに答申案の作成を委託した。

騒音・振動部会の委員並びに委員会の委員は付録の通りである。委員会は委員の大半が厚生省における騒音環境基準専門委員会の委員で構成されたので、従来の審議経過を再検討するとともに、その後入手した社会調査、航空機騒音に対する影響、評価方法、航空機騒音対策、とくに新型航空機の騒音、騒音軽減のための運航方法、土地利用の方策等の資料について審議を行った。委員会は環境基準案の審議に先立ち、部会より要請のあった「当面の措置を構ずるための指針」について答申案の作成を行った。

答申は特に航空機騒音の影響が甚だしいと考えられる大阪及び東京国際空港を対象とし、受忍の限度に近いと考えられるNNI,55(WECPNL,85)以上の地域について緊急に対策を構ずる必要があること(障害防止対策)また周辺住民に対して影響の大きい深夜の運航を制限すること、測定方法としては、上述したWECPNLを用いることを盛り込んだ答申案を部会に提出した。部会においては、測定方法と障害防止対策は原案どおり承認されたが、運航についての時間制限と深夜便(郵便機、一部旅客便オーロラ号等)の取扱いについて、東京・大阪空港周辺自治体、被害者、運輸、郵政当局、航空会社等の参考人の意見を聴取した上で一部修正をおこなって審議会に答申が行われた。これによって環境庁長官は昭和46年12月「環境保全上緊急を要する航空機騒音対策について(勧告)」を運輸大臣に対して行った。その要点は次の通りである。

 (1) 指針
  1. 空港周辺住民の生活環境上の被害を軽減することとし、とくに夜間、深夜の静穏を図ること。  

  2. WECPNL,85以上の地域については、日常生活が著しく損なわれないようにすること。
 (2) 測定方法等    
  騒音測定はホン(A)で行い、評価にはWECPNLを用いること。測定点は屋外とする。

 (3) 指針達成のための方策

  1. 規制の強化:航空機の発着は午後10時から翌日7時迄の間(但し東京国際空港における国際便については午後10時30分から翌日6時まで)緊急やむを得ない場合を除き行わないものとすること。此の場合、東京国際空港における午後10時30分から11時までの国際便については、次回のIATA(国際航空輸送協会)のスケジュール会議までは発着を認めることとし、午後10時から11時までの発着は原則として海上を経由して行うものとすること。

  2. 一定地点における騒音のピークレベルについて最高限度を設定し、これを遵守させること。  

(4) 騒音障害防止措置の推進
 指針2を達成するため次により障害防止措置を構ずること、このためにWECPNL,85以上の地域を緊急に障害防止措置を構ずる地域として指定し、既設の住居に対しては、防音工事の助成措置を構ずるほか、とくに騒音の著しい区域については、その移転を積極的に構ずるものとする。

(5) 騒音の監視、測定について適切な措置を構ずること

4. 特殊騒音専門委員会報告書
 特殊騒音専門委員会における審議は昭和47年に13回行われたが、この間は航空機騒音についてその後実施された祉会調査、海外文献等の資料を補足的に検討したこと以外は、主として新幹線騒音の審議が行われた。航空機騒音にかかる環境基準についての審議は、昭和48年1月から再開された。

 (1) 環境基準の考え方:ここで再び環境基準の考え方について次のような議論があった。

  (a) 基準は夜間においては睡眠防害、日中は生活防害を中心に判断すべきで、その達成の困難さを考慮すべきではない。達成の方策は行政の問題である。
  (b) 基準は行政上、事業者及び住民にとって負担が公平となるものでなければならない。   
  (c) 公害基本法にいう環境基準は、現状の技術のみならず相当の努力をすれば達成可能であるという前提に立った望ましい基準でなければならない。
  (d) 他の騒音との整合性を考慮すべきである。
  (e) 土地利用が制約されない地域の基準が環境基準となる。
  (f) 基準として被害がでるようなものを定めることは許されない反面、行政上どうしても対策がとれないものであってはならない。達成が困難であってもその見通しを明らかにしておく必要がある。
  (g) 対策についてもこれを議論の対象とするが、達成期間を5年程度とすると、理実的な対応にならざるをえないので10年程度を目標とし、基準は現在の技術を前提としたゴールと考えるが、対策の一遇として土地利用を積極的に進めることを前提とする必要がある。
  (h) 海外の資料をできるだけ集めて国際的に通用する基準を作ることにする。

(2) 環境基準値:環境基準値については、海外における航空機騒音評価の動向とアンケート調査および実験室実験の結果から日常生活に支障のない騒音レベルとして、また道路交通騒音に係る環境基準との整合性を考慮して(LAeqへの換算による)NNI,40に相当するWECPNL,70を基本とすることになった。この指針値を採用した根拠として、報告書の別添資料に記載されている内容の概要は、海外各国における評価量に関する文献(14)(15)(16)と航空機に対する騒音限度等を検討した結果で次のように述べている。

1. 米国:米国では評価指標NEFによって土地利用の勧告を行い、NEF,30ではある程度日常生活が妨げられる可能性はあるが、土地利用を制限する心要のない限度と考える。これは飛行回数N=220としてNNI,約45に相当する。NASAでは米国の7都市について空港周辺の社会調査を行い、うるささについて有意の減少を図るには、CNR,93以下としているが、これはNNIで約37になる。
2. フランス:Rという指数で許容しうる上限が社会調査でR=88とし、土地利用の制限を行う必要のないのはR=84としている。これはNNIで約46になる。
3. オランダ:祉会調査の結果として、不快感の最大受忍レベルはオランダの指数Bで45、これはNNIに換算すると42になる。  
4.ドイツ:QというdB(A)から算出される指標で67以下については建築制限をおこなわない。これはNNI,43(N=200として)である。
5. 横田、大阪、ロンドン空港周辺の社会調査の結果によると、NNI,35で睡眠妨害,5〜27%、テレビ聴取妨害,32〜54%、NNI,45ではそれぞれ8〜38%,65〜73%となっている。
6. イギリスのRobinsonは許容限界としてNNI,38±2を提唱している。これはMckennelの不快感の平均百分率で約40%、Griffith, Langdonの不満尺度からもとめた百分率で約35%となる。
7. 米国のSchultzは文献的考察からNNI,35を長期的目標にすべきことを提唱してる。
8. このほかYeoartは文献を考察した結果として、NNI,29±5を生活様式を変更する必要のない環境としている。これはまたMakennelの百分率で約30%になるとしている。

これらの資料からNNIで30〜40であれば航空機騒音に対する日常生活の妨害、住民の苦情がほとんどあらわれないと考えられる。また各国における土地利用が制約される基準はこれを上回っている。従って環境基準値としては、その中間値として約NNI,35以下が望ましい。しかし航空機騒音については、その影響が極めて広範囲に及ぶこと、技術的に騒音を低減することが困難であること、その他航空輸送の国際性、安全性等の事情があるので、これらのことを総合的に勘案した結果、航空機騒音の環境基準値としてはWECPNL,70とすることが適当であると判断される。これは機数200機の場合、ほぼNNI,40、25機の場合はNNI,35に相当する。なお、NNI,40は道路騒音に対する訴え率からみると中央値で60dB(A)に、またパワー平均と中央値の差(2〜3)を考慮すると一般騒音の中央値55dB(A)に相当する。

 尚、環境基準値としてWECPNL,70を65とすべきであるという意見もだされたが、これは空港周辺のみならずその範囲が非常に広範囲にわたること、また道路交通騒音との整合性も考慮してWECPNL,70を基本とすることになった。 一方、一般騒音の環境基準においても、地域類型別に基準が定められているので、航空機騒音についても地域差を設けることが適当と考えられる。この場合一般騒音については、商工業地域において中央値65dB(A)を上限にしているので、訴え率からみてこれに相当するNNI,75を採用する。

注:航空機騒音の環境基準はアンケート調査における訴え率30%に相当する騒音レベルで決定されたという説があるが、上に述べたようにアンケート調査は設問の方法及び地域によって差があり、調査結果の検討の際に訴え率30%程度を目安に基準を設定してみることはどうか等の意見はあったが、それぞれの調査結果にも大きな差があるので、30%に相当する騒音レベルを基準値としたということではない。 このような議論と併行して環境基準の委員会報告原案及び根拠となった資料についての説明書の作成が行われ、指針値と達成期間、地域類型、対策等を盛り込んだ報告案は昭和48年3月中間報告として部会に提出された。

5. 騒音・振動部会の審議
 部会においては小委員会が設置され、委員会原案をもとに騒音対策の課題の審議を行った。小委員会の審議は昭和48年4月より11月の間、9回行われたが、その概要は次のようである。

1. 関係官庁(運輸省、建設省、防衛庁)関連する自治体(大阪府、千葉県、東京都)からの資料説明、および意見聴取、また離島空港の取扱について、鹿児島県知事、八丈島町長の意見を求めた。
2. 審議した資料

  a. 総合交通体系に関する答申
  b. 第2次空港5ヶ年計画
  c. 主要空港における航空機運航の概要、騒音コンター(面積、世帯数、人口)
  d. 欧米における土地利用状況
  e. 建設中の新東京国際空港の概要と民家防音計画
  f. 大阪空港騒音対策費の試算、関西国際空港、羽田空港沖合い移転計画の費用概算

 小委員会ではこのような資料を検討した結果、新型機の早期導入、航空機の運航方法の改善、土地利用の法制化を積極的にすすめることを提言することにした。 (土地利用については、建設省からその法制化は非常に困難であるが努力したいとの発言があった)。また離島空港と運航回数の極端に少ない空港については、これを適用除外とすること、基地については、緊急発進及び海難球助出動についてはこれを除外すること、また資料が少なく実態の把握が困難であることから、基地については一応同規模の空港に準じた対策をとるよう提言することになった。また基準の達成期間について、既設の東京、大阪国際空港はその達成が非常に困難であると考えられることから、10年を超えて可及的速やかにという表現になった。またその他の空港はその規模に応じて達成期間を示す事になった。部会は専門委員会及び小委員会の報告を受けてこれを審議した結果、土地利用に関する小委員会の案「法制度を設けるべきである」を「設ける必要がある」と強調するよう表現を改めて承認され、昭和48年12月23日環境庁長官に答申が行なわれた。

参考とした資料
 (1) ICAO:Report of the Special Meeting on Aircraft Noise in the Vicinity of Aerodromes.
    ICAO Dec. 8857 (1969)

 (2) 騒音の影響 (文献表題集)  日本公衆衛生協会(昭和46年)
 (3) 大阪空港周辺の航空機騒音調査報告書:
    関西都市対策委員会 第1報(昭和40年5月)

                  第2報(昭和40年11月)

 (4) 横田基地周辺航空機騒音調査報告書:東京都公害研究所
    (a)昭和43年度冬期 (b)昭和44年度
 (5) Wilson Report: (a)Noise (1963)
    (b)Aircraft Noise Annoyance around London Airport (1967)

 (6) 山本剛夫ほか:航空機騒音のTTS 日本音響学会発表会 46/5 p.65
 (7) 航空機騒音影響調査報告書:関西騒音影響調査研究会
    (a)厚生省委託 昭和45年度 
    (b)環境庁委託 昭和46年度

 (8) 長田泰公ほか:航空機騒音、特にそのレベル頻度の生理的影響について、
   公衆衛生院研究報告 21(2)P.51(1972)

 (9) 長田泰公ほか:短時間の連続および断続騒音の睡眠におよぼす影響
   公衆衛生院研究報告 18(1)P.1(1969)

 (10) EPA(USA):Public Health and Welfare
   Criteria for Noise. (July,27,1973)

 (11) K.D.Kryter:Effect of Noise on Man
 (12) 長田泰公ほか:間欠的騒音の影響に関する実験心理的研究 
   公衆衛生院研究報告 20(3)P.163(1971)

 (13) 平松ほか騒音のうるささにおよぼす継続時間の影響 
   日本音響学会誌    32(12)P.739(1971)

 (14) 長田泰公:飛行場周辺の航空機騒音に対する住民反応(アンケート調査の比較)
   公衆衛生院研究報告 20(2)P.119(1971)

 (15) 五十嵐寿一:航空機騒音問題 
   日本音響学会誌    26, P.261(1970)

 (16) 五十嵐寿一,西宮元:航空機騒音の計測と評価  
   日本音響学会誌 28, P.194(1972)

 (17) 特殊騒音の測定法に関する研究
   日本公衆衛生協会 (昭和44年度 厚生省公害調査研究委託費)

付録
1. 中央公害対策審議会、騒音・振動部会委員
 * 石原舜介 東工大教授(都市工学)
  江口俊男 公害防止事業団理事長

  金沢良雄 成蹊大学教授(法律学)

 * 楠本正康 日本浄化槽センター理事長
  杉本三吾 日本建設事業団連合会安全公害副委員長

  堀越禎三 経済団体連合会副会長

  松尾静麿 全日本航空事業連合会会長

  宮地健次郎 国鉄技師長
#* 五十嵐寿一 東大教授(音響学)

   # 部会長  * 小委員会委

2. 特殊騒音専門委員会委員
 ☆楠本正康 石原舜介 五十嵐寿一 部会委員
  長田泰公 公衆衛生院部長

  久我新一 建築研究所部長   

  服部昭三 電子技術総合研究所

  望月富雄 東京都公害研究所騒音部長

  守田 栄 日大教授(音響学)

  山本剛夫 京大教授(衛生工学)   ☆委員長

3. 小委員会委員
 ☆石原舜介 楠本正康 五十嵐寿一 坂芳雄(宮地部会委員代理)   ☆委員長

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