1988/1
No.19
1. 騒音の環境問題 2. 騒音環境基準の設定経過 3. 骨董品に見る音響学 4.レイリー・ディスクと石英の糸 5. カスタム挿耳形補聴器 6. インターノイズ’87
       
 環境基準(騒音)の設定経過
     I.一般騒音および道路交通騒音に係る環境基準

五 十 嵐 寿 一

1. はしがき
 騒音に係る環境基準については、一般騒音および道路交通騒音(昭和46年)航空機騒音(昭和48年)、新幹線騒音(昭和50年)の環境基準が設定され、その後10年以上を経過して環境の改善もしくはその悪化の防止に効果のあったことは周知の通りであるが、それらの基準値についての基本的な考え方、また各々の測定方法について、設定に至る経過と基礎とした資料の概要について3回に分けて述べてみることにする。
 (1) 一般騒音および道路交通騒音に係る環境基準  
 (2) 航空機騒音に係る環境基準  
 (3) 新幹線騒音に係る環境基準
 しかしこれらの内容については、公表された印刷物と筆者のメモによるもので、審議の内容を十分につくしていないことをお断わりしておく。

2. 騒音問題の背景
 騒音の問題は古くから存在したと思われるが、これが広く取り上げられるようになったのは、戦後復興に伴って街頭において広告宣伝放送がおこなわれ、また住宅地に乱立した工場の騒音に対して苦情が殺到したこと等を契機として、東京都はじめ全国の主要都市は騒音に係る条例を制定した。これに先だって騒音を測定するために騒音計の規格が確立され、それを使った測定方法も整備された。街頭の変動する騒音の平均値を求めるために、50回法と略称される中央値が提案され街頭の騒音測定が行われるようになった。この頃制定された騒音条例に示された騒音の基準値が、その後20年を経て各種の資料に基づいて設定された騒音の環境基準値とほぼ同一であることはまことに興味深い。しかしこれらの騒音条例において自動車をはじめとする交通騒音は除外されたが、これは戦後復興の時期において交通を規制することは不可能であり、また自動車騒音軽減についても目途がたたないと言う理由によるものであった。その後昭和20年代の後半に至って基地周辺に於ける航空機騒音が問題となり、現在も行われている防音工事が学校病院に限って行われることになった。昭和30年代は高度成長期にあたり特別に騒音が問題になることは少なかったが、昭和39年の東京オリンピックに備えてその数年前から高速道路、新幹線の建設が急速に進み、かつ民間空港にはジェット機が導入される等の条件が重なったことによって交通騒音に対する苦情が急激に増加した。最初に顕在化した騒音苦情は大阪空港周辺で、大規模な騒音測定と騒音に関する社会調査が行われた。また建設や交通に伴う騒音のほか高度成長に伴う企業活動の結果、大気、水等に関して深刻な公害問題が発生したこともあって、昭和42年には公害対策基本法が国会を通過した。この法令の第9条に、政府は大気及び水質等の汚染、騒音・振動に係る環境上の条件について、人の健康を保護し生活環境を保全する上で望ましい基準を定めることとするとなっている。基本法では最初、産業の健全な発展と調和を図るとなっていたが、昭和45年にこの項目が削除され環境保護がより強調されることになった。この法律に基づいて昭和43年には騒音規制法が施行された。また厚生省に生活環境審議会が設置され、その下に公害部会また公害部会の中に騒音環境基準専門委員会が発足した。

3. 一般環境騒音及び道路交通騒音に係る環境基準
 厚生省に設置された騒音環境基準専門委員会は、昭和43年11月25日の第1回から昭和46年5月26日迄に30回の討議を行い、この間一般環境における騒音および道路交通騒音に係る環境基準の答申を行い、航空機騒音に係る環境基準の審議の途中で昭和46年に環境庁が設置されたのに伴って、中央公害対策審議会、騒音振動部会の中の特殊騒音専門委員会に引き継がれることになった。

 3−1 騒音に係る環境基準(一般)
 専門委員会の第1回の会議に於て、事務局より環境基準設定に関する主旨説明が行われた。  
 (1) 生活環境保全についての尺度として域値の使用を考慮していること
 (2) 健康被害から生活妨害まで広く扱いそれぞれについて域値を設定したいこと
 (3) 航空機、新幹線についても追って基準を作成したいと考えているが、これらは環境基準ということで設定できるかどうか検討すること
 (4) 騒音の表示測定の方法についても定めたいこと
 (5) 委員会の報告は公害部会へ答申され、部会より生活環境審議会に諮り正式に政府に答申される順序であること
 なお委員会の委員は次の通りである。
 楠木正康(委員長) 守田栄、望月富雄、山本剛夫、小林陽太郎、長田泰公、渡辺真也、五十嵐寿一、
第2回委員会において先ず環境基準の性格について議論が行われた。
 (1) 環境基準は行政の目標値であり、従って達成の方途、期間などが含まれる。
 (2) これは維持されることが望ましい基準である。しかし専門委員会においては主として(2)を討議の対象とし、(2)の答申を得た上で行政として(1)をつくって行くことにする。この維持されることが望ましい基準は、WHOの第一レベルないし第二レベル以下におくことになると考えられる。
 委員会の具体的な作業内容として、
 (1) 聴力保護、睡眠、作業能率、会話妨害、不快感(うるささ)などについてそれぞれクライテリヤを作成しそれらを適用する生活態様類型の検討を行う。
 (2) ISOの資料を有力な参考資料とする。
 (3) 屋外値、屋内値何れかにするか、また慣れについて検討を行う。
 (4) 測定方法を明確にする。聴力障害については、「音の強さ」と「周波数」を組み合わせ、他の影響は「音の大きさ」「ホン」のみでよいかどうか
以上について議論を進めるについて、既存の騒音資料を参考とするとともに、騒音についての苦情の実態を調査する。最初に聴力保護、睡眠、会話妨害、騒音発生源の内容、その測定方法、建物の遮音効果について検討を行うことにする。
第3回以降の委員会では騒音に対する影響の調査結果、測定方法等について、各種の資料をもとに討議が行われた。参考とした文献については、項目毎にまとめておく。なおISOについては、ISO R 1996「社会反応に関する騒音の評価」 ISO R 1996「作業環境における聴力障害」が共に草案の審議の途中であったがこれらも重要な参考資料となった。しかし、各種の文献についてはそれらの結果から結論を得ることは非常に困難であったが、騒音公害解決の要請が極めて強い社会情勢にあるので、とりあえず基準を設定することになった。
 第5回の委員会(44/2/28)で中間報告が作成されたが、この時点で特に問題になったのは、変動する騒音について時間率の50%(中央値)をとるか、90%レンジの上端値をとるかで、多くの資料をもとに議論が行われた。それは騒音規制法において90%の上端値を採用していること、また人間の騒音に対する反応が平均値よりもピーク値に近いという意見と、多くの騒音測定及び社会調査が中央値を基礎に行われていること、中央値は安定に計測できること、また90%の上端値と中央値の差は平均として約10dBになるので、中央値で良いとするものであった。しかし測定法は基準値とも関係があり、東京都の騒音条例等も参考にして中央値に統一することになった。またISOにおける地域補正は最大25dBになっているが、騒音の影響面の調査結果を考慮して15dBにとどめることとした。一方、建設作業騒音を含めるかどうかの議論も行われたが、一時的な現象であることと繰り返し行われることが少ないので、個々に騒音規制法で取り締まることにして環境基準からは除くことになった。
 環境基準の報告案は昭和44年6月に生活審議会の公害部会に答申されたが、部会において引続き道路交通騒音についても審議を行うよう付帯意見がついたのを受けて、一般環境騒音の環境基準を第一次案とし、第二次案道路交通騒音に係る環境基準の審議を行うことになった。また公害部会には小委員会がおかれ、委員会から答申された環境基準を適用するに当たっての対策面について審議が行われることになった。
 委員会は報告の答申を行った後、騒音環境基準設定に至る根拠について解説書を作成したが内容の主要な点は次の通りである。
 (1) 騒音規制法との関係:騒音規制法は特定騒音を対象とし、最大値が大きく変動するときまたは間欠的もしくは週期的に変動するとき、となっているのが一般の環境騒音は総ての音が総合した場合を対象とするので平均的な中央値とする(騒音による影響についても、90%レンジの上端値との関係について資料が不足している)
 (2) 一般住宅地域で昼間50ホン、夜間40ホンを基本としている点:夜間屋外40ホンは屋内で30ホンとなり睡眠への影響がないと考えられる。また昼間50ホンは屋内で40ホンになるので会話妨害等の生活障害が生じないと孝えられる(建物内外のレベル差を平均10dBとする) 
 (3) 地域差を設けたこと:地域差を設けないことが理想であるが、アンケート調査の結果にも差があること、またISOも地域差を認めている。但しISOは商業、工業地域を区別しているが、調査の結果によれば日本の場合はむしろ商業地域の方が騒音レベルが大きい場合が多いので、商工業を一括すると共に最大値を60ホンとする(ISOの最大値は70ホン)

3-2 道路交通騒音の環境基準
 道路交通騒音の環境基準については、一般騒音の環境基準(一次案)に引き続いて審議が行われたが、基本的には一次案にどのような補正を考えるかということと、道路幅員または車線数と基準値の関係をどの様にするかであった。東京、大阪、京都、札幌その他で実施された道路交通騒音の測定および祉会調査の結果、ISOはじめ外国の文献等が参考にされた。その他交通量、車種構成を考慮した騒音レベルの予測の方法、車種別の騒音レベル等について検討が行われた。
 答申案は公害部会小委員会において第一次案を含めたものに統合され、騒音の環境基準を適用するにあたっての課題が整理された上で正式に政府に答申が行われ、昭和46年5月25日閣議決定がなされた。 (その全文を付録として掲載する)

4. 参考とした文献・資料
 4-1 第一次案において参考として検討した文献の主要なものには次のようなものがある。(騒音環境基準設定資料、昭和45年6月)
(1) 睡眠障害について
  庄司光ほか:大阪市の工場地帯における住民アンケート調査
  日本音響学会誌 9(4)255(1953)
  石田勇ほか:京都市における住民アンケート調査   
  京都府医大誌 59(6)1202(1956) ,65(4)635(1959)   
  島田幸子ほか:東京都内の病院におけるアンケート調査
  公衆衛生院報告 16(4)185(1967)
  大島正光ほか:労働科学 31(11)119(1955)
  斉藤和雄:日本公衆衛生誌 10(7)383(1963)
  田村好弘:日本生理誌 29(5)224(1967)
  田多井吉之:公衆衛生院報告 17(3)印刷中
  Mills.P.T.:Electraence phalography and Clinical Neurophysiology 13(1)79(1961)
  Williams H.L.:Electraencephalography and Clinical Neurophysiology 16(3)269(1964)
(2) 会話妨害及び作業能率の低下
  小林陽太郎ほか:建築学会講演集
  昭和41年秋季 426(1966)
  小林陽太郎ほか:建築学会関東支部発表会 173(1967)
(3) 不快感、うるささ
  山本剛夫ほか:未発表資料  
  ISO R 1996 (関連する内容は4-3)
 なお騒音の聴覚に及ぼす影響についても、Kryter, Ward, Rosenblith, Strasberg, ISO R 1999, CHABA, フランス厚生省資料、産業医学会等の資料について比較検討が行われた。
 また厚生省は、公害調査研究委託費によって「騒音・振動環境基準に関する研究」として実態調査を行い、日本公衆協会より発行している。

4-2 道路交通騒音にかかる環境基準設定資料 (昭和45年6月)
 資料としては文献および各委員会が分担してまとめたものである。
 (1) 大阪市内主要幹線道路沿いの建築物における騒音レベル (昭和43年3月 大阪市公害対策部)
 (2) 京都市における道路交通騒音 (昭和45年2月 山本剛夫)
 (3) 札幌市内交差点の交通量と騒音レベル(渡辺真也)
 (4) 道路幅員別騒音レベル(五十嵐寿一)
 (5) 交通騒音(環状7号線)の時間変動(望月富雄)
 (6) 東京都内幹線道路沿いのアパートの屋外騒音   (守田栄)
 (7) 道路騒音調査報告書 日本音響学会、道路騒音委員会(昭和44年3月)
 (8) 庄司光ほか:街頭騒音特に交通騒音に関する研究
            日本音響学会誌 19(3)1968
 (9) 建築物の外壁における遮音度(小林陽太郎)
 (10) 建設省道路構造令

4-3 ISO R 1996 (Noise Assessment with Respect to Community Responce)
 ISO 1996は、昭和34年頃より審議が開始され、昭和46年になってRecommendationとして発行された。従って騒音に係る環境基準の審議のときは草案の段階であったが、重要な資料として参考にされた。ISOには当時変動する音についてすでに等価騒音レベルの概念が導入され、衝撃音、純音性の騒音に対する補正(それぞれ+5dB)を行うことも提案されていたが、これらはJISとの整合性を図る上から考慮しないことにした。またISOには、住環境における評価の基本とするレベルとして、35-45dB Aを設定し、これに地域、時間帯の補正を加えるよう提案されていたので、これも参考にして特に静穏を要する地域の基準値を昼間45ホン夜間35ホンとすることになった。また地域補正としては次のようになっている。
地 域
     補正値
dB
田園地帯、病院の地域 
0
郊外、交通量小
+5
市街地
+10
主要道路のある市街地
+15
商業、官庁地域
+20
重工業地域
+25
時間帯補正としては、
昼間
0
夕方
+5
夜間
+10〜+15
(但し夕方の補正は除いた方が適当であると注釈がついている)

付録:騒音に係る環境基準について 
  (昭和46年5月25日閣議決定)

 公害対策基本法第9条の規定に基づき、騒音に係る環境上の条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資するうえで、維持されることが望ましい基準(以下「環境基準」という)を次のように定める。
第1. 環境基準
 環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。

該当地域:環境基準に係る水域及び地域の指定権限の委任に関する制令(昭和46年政令第  号)第2項の規定に基づき都道府県知事が地域の区分ごとに指定する地域
 注 1. AAをあてはめる地域は、療養施設が集合して設置される地域などとくに静穏を要する地域とすること。
   2. Aをあてはめる地域は、主として住居の用に供される地域とすること。
   3. Bをあてはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業の用に供される地域とすること。但し次表に掲げる地域に該当する地域(以下「道路に面する地域」という)については、その環境基準は上表によらず次表の基準値の欄に掲げる通りとする。

備考:車線とは1縦列の自動車が安全かつ円滑に走行するために必要な一定の幅員を有する帯状の車道部分をいう。

第2. 測定方法等
 騒音の測定方法、計量単位及び測定機器は次の通りとする。
 1 測定方法は、日本工業規格Z 8731に定める騒音レベル測定方法による。測定結果の評価については、原則として中央値を採用するものとする。
 2 計量単位は、ホン(A)を用いる。
 3 測定機器は、日本工業規格C1502に定める指示騒音計もしくは国際電気標準会議のPub. 179に定める精密騒音計またはこれらに相当する測定機器を用いる。

第3. 測定場所
 測定は屋外で行うものとし、その測定点としては、なるべく当該地域を代表すると思われる地点または騒音に係る問題を生じ易い地点を選ぶものとする。この場合、道路に面する地域については、原則として道路に面し、かつ、住居、病院、学校等の用に供されている建物から道路側1メートルの地点とする。但し、建物が歩道を有しない道路に接している場合は道路端において測定する。なお、著しい騒音を発生する工場および事業場の敷地内、建設作業の場所の敷地内、飛行場の敷地内、鉄道の敷地内及びこれらに準ずる場所は測定場所から除外する。

第4. 測定時刻
 測定時刻は、なるべくその地点を代表すると思われる時刻または騒音に係る問題を生じ易い時刻を選ぶものとする。この場合、主として道路交通騒音の影響を受ける道路に面する地域については、測定回数を朝、夕それぞれ1回以上、昼間、夜間それぞれ2回以上としとくに覚醒および睡眠の時刻に注目して測定するものとする。

第5. 環境基準の達成期間等
 環境基準は、適用地域の種別により、次の区分により、第6の施策の進展と相まってその達成、維持を図るものとする。
 1 道路に面する地域以外の地域については、環境基準の設定後直ちにその達成を図るよう努めるものとする。
 2 道路に面する地域については、設定後5年以内を目途として、その達成を図るよう努めるものとする。但し、道路交通量が多い幹線道路に面する地域で、その達成が著しく困難な地域については、5年を越える期間で可及的速やかに達成を図るよう努めるものとする。

第6. 環境基準達成のための施策
 環境基準達成のためには、騒音を発生する者の特段の協力が必要であるが、政府としては次により諸施策を強力に推進し、その達成維持を図るものとする。なお、施策の実施に当たっては、財政、金融、税制面において適切な助成措置を構ずるとともに、中小企業に対しては特別の配慮を払うものとする。
1 規制の強化
 騒音の規制の強化については、環境基準達成との関連で必要に応じ工場騒音に係る規制基準の見直し、自動車騒音に係る許容限度の設定および見直しを行うこととする。
2 土地利用の適性化
 工場と住居を分離することを基本として土地利用の適性化を図るとともに、騒音発生工場等の新増設に対する調整等を推進する。また地域の開発計画等の策定と実施に際しては、騒音による公害の防止につき十分な配慮を払うこととすると共に、都市計画法、建築基準法等土地、建物に関する法令の運用に当っては、第一に示す基準値の達成に資するよう配慮するものとする。

3 騒音防止施設の設置改善の促進
 法令による規制の実効を挙げるため、工場等における防音装置の設置、低騒音機械の採用等を促進すると共に、これらの設置採用が困難である中小企業に対しては工業団地への移転等を配慮する。なおこれらの発生源対策と共に、必要に応じ緩衝緑地等公共施設の整備もあわせて実施するものとする。
4 道路交通騒音に対する総合的施策の推進
 道路に面する地域については、前記の騒音対策に加えて、騒音低減のための自動車の改善、道路交通騒音低減に資する道路構造の改善、都市再開発の推進、交通の円滑化を著しく妨げない範囲における交通規制の実施、交通取締りの強化等各種の施策を総合的に推進するものとする。なお、道路の新設については、道路交通騒音低減のための他の施策と併せて、道路に面する地域の環境基準の達成に資するよう、道路計画、住宅計画その他の道路周辺の土地利用計画の策定と実施にあたり十分配慮するものとする。
5 監視測定体制の整備
 騒音の状況を的確に把握評価し、および騒音防止のための規制措置を適正に実施するため、騒音について常時必要な監視測定を行いうるよう、この体制の整備強化を図るものとする。
6 騒音防止技術等の開発の促進
 騒音による公害の防止の為、低騒音機械、低騒音車等の発生源における騒音低減技術の開発、騒音の伝搬機構、しゃへい効果等の解明に関する研究測定技術の開発および騒音の人体影響に関する研究を促進することとする。
7 地方公共団体に対する助成等
 騒音防止対策の円滑な推進を図るため、地方公共団体に対して必要な助成を行うこととする。特に、公害対策基本法に基づく公害防止計画の実施については、特別の配慮を払うものとする。
8 住民に対する啓蒙等
 夜間においてとくに騒音源となる深夜営業の利用に伴う騒音、家庭等における音響機器、楽器等の使用等に伴う騒音の防止に資する為、住民に対し必要な啓蒙を行う。また、道路交通騒音については、とくに自動車等の運転者に対し、その騒音防止につき自覚と協力を促す為、啓蒙活動を強力に推進する。

第7. 環境基準の見直し
1 環境基準は、騒音の影響に関する知見の発展および社会的評価の変化、騒音の測定技術の進歩等に照らし、必要に応じて改訂を行うものとする。
2 地域の類型をあてはめる地域の指定については、当該地域の利用形熊の変化にともない、適宜変更が行われるものとする。 第8. 環境基準の適用除外について本環境基準は、航空機騒音、鉄道騒音、及び建設作業騒音には適用しないものとする。

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