2014/1
No.123
1. 巻頭言 2. inter-noise 2013 3. 17th workshop of the Aeroacoustics Specialists’ Committee of CEAS 4. はかり・天秤(重さを計る)
  5. 誘発反応検査装置 Integrity V500 ER-H1

 
  謹んで初春のお慶びを申し上げます        平成26 年(西暦2014 年)元旦


理事長   山 下 充 康

 オリンピック東京招致に成功し何となく心浮き立つ思いがいたします。熱中症という用語が毎日のようにニュースに登場した夏が去り、秋を愉しむ間もなく冬将軍の到来を迎えました。

 小林理学研究所の設立が皇紀2600 年(昭和15 年)、零式艦上戦闘機が堀越二郎氏の設計によって登場したのもこの年でした。同氏をモデルにした映画も昨年公開され、国内外で高い評価を受けました。今年は皇紀で2674 年、小林理学研究所は74 歳になります。

 昨年は日本列島に竜巻という耳になじみの薄い突風が荒れ狂い、原子力発電所の放射能問題への対応に明け暮れた一年でした。

 原子力エネルギーに代わるエネルギー源として風力が見直されていますが、騒音と低周波音の問題は未解決のままといわざるを得ません。近くに人の住まない洋上に巨大な風車を建設して騒音や低周波音の課題を回避しようとする計画もあるようですが送電や建設の費用には問題が多く、実用化には将来に多くの課題を持ち越しているようです。とはいえこれまでも技術で世界をリードしてきた日本国です。これらの課題にも環境に配慮しつつ有効な対策を見出し、新たな技術の発展を生み出すことを期待しています。

 小林理学研究所では低周波音の問題とは別に、人の聴覚(聴感覚)についての研究を積極的に推進しています。高齢化が進んでいるわが国にあって老人性の難聴の増加は大きな社会問題となってきました。日常生活の中で取り立てて耳の役割を考えることはありませんが、音からの恩恵には極めて大きなものがあります。五感の中で聴覚は意外に大きな役割を担っています。歩いているときでも、自動車を運転しているときでも、常に音を聴き、音によっ てさまざまな情報を把握しています。注意力が劣化した老人、日常の行動が安定していない老人にしばしば閉口させられることがありますが、多くの場合、これらの老人たちは聴力が劣化しているものです。高い周波数の音を聞 き取りにくくなったら老人性難聴の始まりと考えていいでしょう。健全な高齢化社会の実現のために医療と物理科学の連携のもと、今、我々が取り組まなければならない課題は山積しています。

 捻じれ国会が姿を消し、好かれ悪しかれアベノミクスは日本の背骨を矯正したように感じられる昨今ですが、身近に我々が接している日常的な課題を解決するために科学的な視点を以て小林理学研究所の真の役割を発信し続けて行きたいものです。今後とも諸兄のご指導、ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。

 

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