1997/4
No.56
1. 音響式体積計 2. 日米音響学会ジョイントミーティング 3. オージオメータ AA-55/55T/56
        <会議報告>
 日米音響学会ジョイントミーティング

騒音振動第二研究室  野 康 一

 第三回日米音響学会ジョイントミーティングは昨年12月2日(月)から6日(金)までの5日間、ハワイのシェラトン‐ワイキキホテルで開催されました。これは日本音響学会(ASJ)とアメリカ音響学会(ASA)の合同の研究発表会で、ASAの冬の定例の発表会を兼ねたものです。前回のジョイントミーティングは1988年で8年ぶりの開催でした。小林理研からは五十嵐、山田、横田、金沢、牧野の5名が参加しました。私にとっては横浜で開かれたInter Noise 94に続く二回目の英語での発表でしたが、初めての外国での学会参加になりました。今回は、日本人の参加者が多かったり、学会事務局の手伝いで受付に座って英語で応対をする機会もあって、通常の国際学会とは少し違った経験をすることが出来ました。

 今回のジョイントミーティングでは合計91セッション、1335件の発表(アブストラクトの提出件数)がありました。この発表件数は過去最高だったそうで、このうち日本音響学会(ASJ)を通して申し込んだ発表は350件を超え、これ以外にもASAに直接申し込みをした日本の方もいたようでした。各セッションは5日間の会期中、毎日午前中は8時から12時過ぎまで、午後は14時から17時過ぎまで、10会場で並行して行われました。このようにたくさんの発表から聞きたい発表を探すのは大変ですが、ASAではインターネットのホームページ上(http://asa.aip.org/)にアブストラクトのデータベースを構築して、自由にキーワードから検索を出来るようにしていました。このホームページのおかげで事務局からの郵便連絡の前に自分の発表開始時刻が分かったり、他の発表のアブストラクトやプログラムを見ることが出来て役に立ちました。海外の情報へのアクセスが簡単に出来るインターネットの威力を感じました。

 我々小林理研の一行5人は11月30日(土)の夕方、成田からホノルルに向かいました。翌、日曜日は一日オフで、月曜日から金曜日がジョイントミーティング出席、12月8日(日)に帰国するという日程でした。日曜日は唯一のオフだったのですが、出発前の準備不足がたたり、一人でホテルの部屋で持参したMacintoshを使って一日中発表のオーラルペーパー作りをしていました。

 月曜日はミーティング初日だったのですが、日本音響学会デスクでプロシーディンクス販売の手伝いをしました。ASAでは通常のミーティングではプロシーディングスを作らず、今回は日本側で独自に制作したそうです。プロシーディングスはA4で厚さが6cm、重さは3kgもあって、「重さは何ポンドか?」とか「後で送ってくれないか」とよく聞かれました。会話が英語で(当然)行われるので、冷や汗をかきながら必死に単語を並べて答えました。この経験が発表前に英語に慣れるために非常に役に立ちました。

 自分の発表は火曜日の「Signal Processing in Acoustics:Temporal‐Spatial Signal Processing」というセッションで行いました。このセッションではほぼ一件おきに発表のキャンセルがありました。キャンセルはほとんどがアメリカ以外の国の人でした。私の発表は航空機騒音の到来方向の変化から飛行経路を識別するという内容で、発表はなんとか時間通り終わらせることが出来たものの、質問に対してはうまく答えられませんでした。改めて英会話の訓練の必要性を認識しました。

 ここでジョイントミーティングでの発表方法について紹介します。一件の発表には15分間与えられていて、人によって12分喋って3分質問にしたり、15分全部喋ったりと自由に使っていたようです。また、各会場の後ろの方に紙コップと冷たい飲みものが用意してあり、自由に飲むことが出来ました。発表時の服装はネクタイをしている人が多かったのですが、聴衆の方はTシャツに短パンの人までいてハワイらしさを感じさせていました。ただし、Tシャツで会場にいると冷房のために少し寒い位でした。今回、国内の研究発表会との違いを最も感じたことは、予稿集を作らずにアブストラクトだけしかなく、発表の資料を手に入れたい場合は「コピーサービス」を利用するか、発表者に頼んで直接もらわなければならないという点でした。発表者は配りたい資料を「コピーサービス」に預け、欲しい人は「コピーサービス」に申し込んで有償でコピーをもらうというシステムになっていました。資料はOHPをそのままコピーしたものや論文の形になっているものもあり様々でした。また、全員が資料を用意している訳ではなく「発表だけ」の人がかなりいました。

 火曜日の夕方から夜にかけては2つのパーティーがありました。夕方にはASAの役員の人達が新入会員(New Commer)を歓迎するちょっとした立食のパーティーがありました。無料で飲み物や軽食を出してASAの会長や副会長が新人達に一人一人声をかけてくれるものでした。ASJの役員の方や日本の若手の方達も多数参加されていました。ASAの会長さんに気軽に声をかけていただき、楽しい一時を過ごすことが出来ました。その後は、「Buffet Social」というパーティーがありました。こちらは飲みものは有料で、料理は無料(!)というもので、音響学会の懇親会のような雰囲気でした。

 木曜日にはBanquetがあったのですが、始まる前の一時間、受付のあったロビーにバーのカウンターを出して「Social Hour」がありました。これはBanquetが始まるまでロビーで飲み物と軽食をとりながら待つというもののようでした。「Banquet」は入場するにはチケットが必要で、人数分の席が用意され、全員着席という改まった雰囲気のパーティーでした。Banquetではまず食事がでて、その後、今回の実行委員の紹介や数々の表彰がありました。この中で五十嵐先生が他のASJの先生と共にASAからのSpecial Awardsを受賞されました。受賞式の後にはハワイアンバンドの生演奏が始まり雰囲気を盛り上げていました。

 以上とりとめのない文章になってしまいましたがジョイントミーティングの報告をさせていただきました。

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