1987/4
No.16
1. 吸音材科学の枠組 2. 最近の米国の騒音環境 3. JIS B4900-1986とISO 5349-1986 4. 地震時列車制御用地震計 5. 米国航空局の空港周辺土地利用計画書

 米国航空局の空港周辺土地利用計画書

 米国航空局は航空機騒音が空港周辺に及ぼす影響を軽減し、航空交通の発展を図る方策として、騒音暴露の状況を把握するため、INMモデル*によって騒音暴露地図、(Airport Noise Exposure Maps-NEM)を作成してきた。さらにこの地図に基づいて、空港周辺の土地利用を積極的に計画するため、国内各空港から計画書を提出させ補助金を交付することとした。この計画書の作成プログラムについては、1981年に暫定案がまとまり、11ヶ月の意見提出期間の後、4年間の試行期間を経過して、1985年1月最終案を決定した。すでに幾つかの空港はこのプログラムによって騒音対策の計画書をFAAに提出しており、1984年の会計年度には試行計画書57に対し、$74millionが既に交付された。このうち22の計画は土地買収に関するもので、$55million、他の22は計画書作成に要する費用として、$2.6million、また学校防音工事の予算として6件、$6.2million、その他7件、$9.9millionである。なお、1985年にも約22の計画書がダラス、シカゴ、ダレス・インターナショナル、ワシントン・ナショナル空港などから提出される予定である。この補助金は、1987年までに$347millionが準備されていて、航空関係予算の8%にあたり、航空運賃及び航空貨物運賃として徴収することになっている。これは騒音被害地の救済にかかる費用は航空の利用者が負担するという考えに基づいている。この計画書に用いる騒音指数は、INMに用いられるLdnで、LAEまたはLT(T時間の平均騒音レベル)から計算することになっている。土地利用の方法としては、ANSIの騒音暴露指数と土地利用に関する規格(本ニュース、No.2, 1983で紹介)に準じた表が付属している。これは騒音暴露レベルをLdn65以下、65-70、70-75、75-80、80-85、85dB以上に分類し、空港周辺の土地を住宅、学校、事務所、公園、運動場等に利用する場合の適否及び条件(例えば遮音の程度)を示したものである。

*FAA INMモデル
 空港周辺の騒音暴露を表示する地図NEMを作成するため、FAAとして以前はNEFを用いていたが、米国政府各省連絡会議において、各種の騒音について統一した騒音指数を用いることになったのを受けて、Ldnを基本としたINM Version, 3.が作成された。このプログラムはパーソナルコンピュータでも処理できるようになっていて、最近のデータベースとして、商用機、一般航空機、軍用機65機種が登録されている。これによって空港周辺における任意の地点について、Ldn, NEF等を計算することができる。但し、現在ヘリコプターは含まれていない。

(五十嵐寿一)

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