2011/1
No.111
1. 巻頭言 2. ICA 2010 3. IWRN10に参加して 4. カンカン石(サヌカイト)
  5. 医薬業界向けパーティクルカウンタKL-04A

 
 70周年を迎えて
        新年明けましておめでとうございます   平成23年(西暦2011年)元旦   

理事長   山 下 充 康

 小林理学研究所が文部大臣の認可を受けて設立されたのが昭和15年(1940年)8月24日、同年8月28日に設立登記が完了しました。したがって今年2011年には満で70年を迎えることになります。昭和15年といえば第二次近衛内閣のもとで日・独・伊の三国同盟が締結された時代でした。日本が真珠湾での空爆を契機に太平洋戦争に突入する前年でした。太平洋戦争戦時中の混沌の時期、終戦後の極端な窮乏の時期を経て、物理化学の基礎と応用研究を続けて来たのが小林理学研究所です。音響、振動を中心にした研究活動は長きにわたって社会的に様々な貢献を成し遂げてまいりました。

 記録的な酷暑に見舞われた昨年の夏、与野党が衆参国会で逆転した「ねじれ国会」、尖閣列島や北方四島を始めとする国際的な諸問題など、解決しなければならない幾多の難題に直面している日本国ですが、そんな中で自然科学分野でのノーベル賞の受賞が、明るいニュースとしてわれわれ国民の心を癒したことでした。

 音響科学の足跡を振り返るとき、近年のディジタルエレクトロニクスの技術に拠る部分が極めて大きなものであることに愕然とさせられます。小林理学研究所が当時日本で一番優れた拡散音場といわれた「大残響室」を設備して「室内音響」に係る「音響吸音率」を測定し続け、道路沿道や鉄道沿線地域の環境保全のための騒音予測や騒音低減方策を検討するための「大型模型実験室」の設備をはじめ、これらを用いて数々の研究成果を発信してきました。これらはどれもディジタル以前にアナログの思考過程と科学する心に支えられていたことを忘れたくないものです。

 70年の歴史を刻んでまいりましたが、小林理学研究所も内閣府が提示した公益法人制度改革の波及を避けることができません。公益法人制度改革への対応に追われています。将来的に、「財団法人」小林理学研究所は改称されることになる予定です。70年の歴史に区切りをつけることには抵抗を感じないわけではありませんが、新たな体制のもとに従来にもまして各種業務内容の充実に務めることにいたします。今後ともよろしくご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

 

−先頭へ戻る−