2010/7
No.1091. 巻頭言 2. 強誘電ポリマーの話 3. マレット:撞木 4. 159th ASA MEETING
5. 多チャンネル分析処理器
4チャンネル分析処理器
創立70周年に寄せて
理 事 長 山 下 充 康
「七十にして心の欲する所に従えども矩を踰えず」 (論語・為政第二より)
小林理学研究所が民間の科学研究機関として発足したのが西暦1940年(昭和15年)。今年が2010年ですから70周年を迎えることになります。これも創立以来、先輩たちが凌いで来られた多くの苦難があってのことであり、それらの歴史的遺産に支えられているということを忘れるわけにはまいりません。
図1 小林理研図書室音響学をはじめ、物理学、化学関連の膨大な書籍が図書室の書庫棚に保管されています。書庫の一角を図1に紹介させていただきましたが、この区画には日本音響学会誌(JASJ: The Journal of the Acoustical Society of Japan)の第一巻(1939年)、さらに米国音響学会誌(JASA: The Journal of the Acoustical Society of America)の第一巻(1929年)の綴りが残されています。ハードカバーで装丁されて背表紙には金文字で書名と整理番号が刻印されています。今となっては論文の内容には陳腐な感を禁じえないものが多いのですが歴史的な価値、当時の研究者たちの科学する姿勢には敬服させられます。加えてこの時代に米国から学会誌を取り寄せて今日に至るまで購読し続けてきた小林理学研究所の先人たちの感性には頭の下がる思いがいたします。
今日、公益法人を取り巻く社会的な環境は決して平穏なものではありませんが、先輩たちのご苦労を思うとき、70周年を迎えたこの時期に我々が担うのは、苦難に負けることなくこの研究所の更なる発展を実現するという大きな使命であると考える次第です。
これまでにも増して、ますますのご支援とご協力を御願い申し上げます。