2009/1
No.1031. 巻頭言 2. inter-noise 2008 3. カナダの圧電材料国際会議 4. 拍子木 柝
5. 普通騒音計 NL-27 <技術報告>
普通騒音計 NL-27
リオン株式会社 計測器技術部 尾 崎 徹 哉
■ はじめに
近年、作業環境・学校環境・研究所・工場・屋外等において、騒音測定を簡便に行いたいという要求が強くなっています。
そのニーズにお応えすべく、「いつでも・どこでも・誰でも」をコンセプトに超小型・超軽量の普通騒音計NL-27(図1)を開発しました。今回はその製品の概要と特長について説明します。
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図1 NL-27 ■ 製品概要
NL-27は、計量法普通騒音計、JIS C 1509-1:2005クラス2、IEC 61672-1:2002 Class2に適合する普通騒音計です。マイクロホンには1/2インチエレクトレットコンデンサマイクロホンUC-52を使用します。107 dB の広いリニアリティレンジを有し、30〜130 dB の騒音レベルをレンジ切り替えすることなく測定できます。
測定できる項目は以下の通りです(周波数重みをA特性に設定した場合)。
・ 騒音レベルLpA
・ 等価騒音レベルLAeq
・ 騒音レベルの最大値LAmax
・ 単発騒音暴露レベルLAE
ピーク測定モードに設定すると、同時にC特性ピークサウンドレベルLCpeakを測定することができます。
マニュアルストア機能を有し、USB通信アダプタケーブル(別売品)によりパソコンへストアデータを送信できます。
電源は単4形乾電池2本で駆動します。なお、本体とプリアンプ部は一体構造のためマイクロホンを延長して使用することはできません。■ 特徴
・ 超小型軽量化
胸ポケットにすっぽりと入る超小型で120 mm (H) ×63 mm (W) ×23.5 mm(D)シンプルなデザイン、重量105 g(電池含む)という携帯電話並みの軽さを実現しました。従来の当社普通騒音計NL-26と比較しますと体積約1/3、重量1/2以下となっています。・ 簡単操作
操作キーが3つで簡単に操作することができます。またLAeqなどの演算値は演算終了時に自動的に保存されるため、測定データを保存し忘れる心配がありません。・ レベルレンジ切り替え不要
1つのレンジで全測定範囲30〜130 dBをカバーするため、レベルレンジ切り替えの煩わしさがありません。・ スピード測定
前回Offした時の設定で起動し、かつ測定レンジ切り替えの必要がないため、電源Onですぐに測定が行えます。・ 視認性の良い液晶
反射型セグメント液晶を採用することで屋外での視認性に優れています。また小型化したにも関わらず、従来品に比べ文字サイズを大きくし、騒音変動の様子がわかりやすいバーグラフ表示を備えました(図2)。
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図2 液晶画面 ・ 省電力化
単4アルカリ乾電池2本で約9時間の連続測定が可能です(ワイドレンジ設定時)。また10分間操作がないと自動的に省電力モードに移行し電池の無駄な消耗を防ぎます。・ LCpeakとLAeqの同時測定
ディジタル信号処理技術により、主に海外で使用されているLCpeak とLAeq の同時測定が可能です。・ 出力端子
出力端子には交流モニタ出力端子、直流出力端子、USB通信用出力端子を備えています。出力ケーブル(別売品)を使用することにより、モニタ用交流信号および直流信号を出力することができます。またUSB通信アダプタケーブルを使用することによりストアデータを簡単にPCに送信することができます(図3)。
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図3 出力端子 ・ ウインドスクリーン(WS-14)とウインドスクリーン脱落防止ゴム(共に付属品)
今回、NL-27専用にウインドスクリーンを新規に開発しました。これを装着することにより風雑音の影響を抑制することができます。なお、ウインドスクリーン装着時もJIS C 1509-1:2005クラス2 に適合します(図4)。
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図4 WS-14の防風効果 またウインドスクリーンが不意に外れないよう、ウインドスクリーン脱落防止ゴムを開発しました。これを装着することにより、ウインドスクリーンが簡単に外れることを防ぎます。
・ シリコンカバー
安心安全の計測を提供するため、シリコンカバーを付属しました。これを装着することにより、グリップ感の向上、および対衝撃性の向上を図りました(図5)。
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図5 シリコンカバーとWS-14 ■ おわりに
新規に開発しました普通騒音計NL-27について紹介しました。騒音測定が普及されるようNL-27が使用され、皆様の計測に役立つことを祈念しています。
これからもお客様の声を大切にし、より良い製品の開発に努力する所存です。