2019/1
No.143
1. 巻頭言 2. inter-noise 2018 3. 聴覚検査結果支援システム メディレポ  
   

     <技術報告>
 聴覚検査結果支援システム メディレポ


リオン株式会社 医用検査機器開発一課  増 成 伸 一

1.はじめに
 2017 年3 月に、医療支援を目的とした聴覚検査結果支援システム「メディレポ(MediRepo)」を発売いたしまし た。電子カルテ接続ソフトウェア「DF-60/6x シリーズ」 (以下、従来製品と記載)の後継にあたる製品となります。
 本製品は、当社の医用検査機器(オージオメータ/イ ンピーダンスオージオメータ/耳管機能検査装置/耳音響放射検査装置/眼振計など)で得られる検査結果はも ちろん、検査を行った日時・患者情報をデータベース内 で保存・管理しており、患者情報を含めた検査結果の印刷、画像出力などができます。
 また、医療施設内の上位システム(電子カルテシステム)とオーダ連携することが可能で、上位システムから 来る検査オーダ(検査予約)に対しデータベースにある 検査結果と紐づけて、オーダ情報、患者情報、検査結果 をまとめて上位システムに送信することで、必要な検査 が確実に行われるよう管理することができます。
 次項にて、「メディレポ」の特徴を紹介します。

2.メディレポの特徴
2.1 使い勝手の向上
 従来製品では、医用検査機器ごとにソフトウェア 「DF-6x」が用意されており、複数種類の医用検査機器 を使用している施設では同数のソフトウェアを操作す る必要がありました。さらに、前述のオーダ連携を利用 する施設では、上位システム連携用のソフトウェア 「DF-60」があり、それも個別に操作する必要がありまし た。これらの操作性を改善するため、「メディレポ」で は、従来製品の機能を一つのアプリケーションにまと め、一元的に操作出来る設計としました(図1参照)。  また、一つの画面設計に落とし込むにあたり、ユーザ 操作を簡易にするよう様々な工夫をしています。クリッ ク回数の低減、スクロール回数の低減、マウスカーソル の移動を少なくするスマートレイアウトなど、従来製品 に寄せられたユーザの声を参考にし、当社独自の操作 性、レイアウトを実現しました。
検査結果の表示画面
オーダ情報の一覧画面
図1 検査結果の表示画面およびオーダ情報の一覧画面

 

2.2 ユーザ要望に合わせた最適なシステムを提供可能
 「メディレポ」は、ローカルネットワークで動作する 小規模システム(クリニック)から院内ネットワークを利用した大規模システム(大学病院など)まで、幅広い 施設を対象として開発しています。「メディレポ」では、 各主要な機能にライセンスを割り振ることで、導入する システムによって必要な機能を選択できるライセンス機 能を採用しました。このライセンス機能により、本製品 導入後も、ライセンスの購入のみで容易に機能追加を行 うことが可能となり、千差万別な医療機関の要望(機能 の追加、閲覧端末の追加、検査機器の追加など)にも柔 軟に対応することが可能となりました。

2.3 スキャン画像も検査結果として保存可能
 「メディレポ」では、検査機器から送られる検査結果 (生の検査データや画像データ)だけでなく、新たにス キャンした画像データも検査結果として取り込む機能を 搭載しました。これにより、語音聴力検査で回答を筆記 した際の検査結果(図2参照)なども含めて、データ ベースで管理することができます。
図2 スキャン画像の取り込み

 

2.4 「リオネット紹介状発行システム」との連携
 「リオネット紹介状発行システム」とは、一般社団法 人 日本耳鼻咽喉科学会が定めた『補聴器適合に関する 診療情報提供書(2018)』(以下、紹介状と記載)を作成 できるアプリケーションのことで、医療機関の医師が本 紹介状を発行し、患者が補聴器専門店に持参することで、適正な補聴器調整の手助けとなるものです。「メ ディレポ」と、このアプリケーションを連携させること により、「メディレポ」のデータベースに保存すると同 時に、紹介状に必要となる標準純音聴力検査や語音聴力 検査の検査結果部分を自動的に作成し、正確かつ簡易に 検査結果をコピーすることができます。

2.5 検査結果の比較機能
 標準純音聴力検査、音場閾値聴力検査の検査結果 (オージオグラム)を対象として、過去の検査結果との 比較(『重ね書き』、『重ねて比較』、『並べて比較』)をす ることができ、聴力の経時的な変化や補聴器の装用効果 も視認することができます(図3、図4、図5参照)。
図3 検査結果を時系列で比較した結果(重ね書き)
図4 検査結果を時系列で比較した結果(並べて比較)
図5 異なる種別の検査結果を比較した結果(重ねて比較)

 

3.おわりに
 ここまで「メディレポ」の機能の一部について紹介し ました。従来製品から、操作感の向上やライセンス機能 など、ユーザにとって使い勝手の良いアプリケーション にすることができたと思います。これも関連部署の皆様 に献身的なご協力を頂けたことで達成することができま した。誠にありがとうございました。
 本アプリケーションが多くの現場で使用され、お客様 のお役に立てることを期待しています。
 今後、本アプリケーションに対して様々なご意見、ご 要望をいただくことになるかと思います。それらの声に 耳を傾け、お客様にとってさらに満足度の高い製品を開 発するため、今後も努力をしていきたいと思います。

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