2020/4
No.1481. 巻頭言 2. 圧電ポリマー研究の話 3. 低周波音測定用マイクロホン
<研究紹介>
圧電ポリマー研究の話
特別研究員 古 川 猛 夫1.はじめに
小林理学研究所は今年創立80周年を迎える。リオンはその4年後設立され、実は私と同期になる。ずいぶん長い年月、研究をやってきたことになる。最近は圧電ポリマーの研究に、その誕生の地ともいえる小林理研で専念することができ[1,2]、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の圧電性の奥深さと対峙している。これまでの研究全体を振り返りながら、少々複雑なPVDFの話をしたいと思う。2.高分子の研究
私の相棒は、高分子(polymer, macromolecule)と呼ばれる巨大分子である。モノマーが数千個つながった、一本の長さが数μmの鎖状分子である。これが何度も折り畳まると規則的な結晶になり、不規則な糸まり状になると非晶状態になる。通常の高分子フィルムは、結晶と非晶の複雑な集合体である。内部で分子は活発な熱運動を行い、温度や周波数によって大きく性質を変える。複雑な構造とダイナミクスが、高分子研究の醍醐味である。
2.1 機能物性
図1は、私の研究室の表札で、高分子の機能物性と書いてある。物性には、電気、力学、熱的性質がある。それぞれに、誘電性と導電性、弾性と粘性のように、エネルギーの貯蔵と輸送の両面がある。それ以外に、圧電性や焦電性のように、異なるエネルギー間の相互変換を行う性質もある。高分子についてエネルギーの貯蔵・輸送・変換にかかわる機能物性を、鎖状分子の構造とダイナミクスを通して理解することが研究の課題であった。
図1 高分子機能物性研究の構成2.2 応答関数
物質の性質は、一組の物理変数(X, Y)について、刺激Xに対する応答Yを測定し、両者間の比例係数Cにより表現する。高分子の物性は温度や周波数に強く依存するので、Cを応答関数とよび、その緩和現象として物性を表現する。高分子の強い緩和的性質は、鎖状分子に特有の熱運動に起因し、その速さは、溶融状態のGHz域からガラス状態のmHzへと温度によって大きく変化する。
我々は様々な高分子の機能物性を応答関数としてとらえ、広帯域スペクトロスコピー、大きな刺激に対する高調波応答を利用した非線形スペクトロスコピー、プローブ走査顕微鏡を用いたナノ領域スペクトロスコピーも活用して研究を進めてきた。
機能性高分子の中で、強誘電性高分子、圧電・焦電性高分子及び複合体、イオン・電子伝導性高分子複合体をよく研究した。試料の高度な構造制御と、独自の測定法の開発を武器として、高精度測定と定量的解析により、複雑な高分子物性を支配する基本的な相互作用の解明を興味の対象としてきた。3.圧電ポリマーの概観
W. P. Cady は古典“Piezoelectricity”(1946, Dover)において、圧電性の原因を、物質内の“One-wayness”に帰着している。結晶物理学では、32の結晶点群の中で、圧電点群が20あることが知られている。高分子は一般に、結晶と非晶の不規則な複合体であるので、圧電性が発現するには“One-wayness”を付与する外部処理が必要になる。
3.1 極限群と圧電ポリマーの分類
結晶と非晶の不規則な集合体は、対称的には∞個の∞回軸を持つ非圧電である。高分子に圧電性を付与する処理に、高電場を印加するポーリングと、力学的な延伸を利用する二つの処理がある。これらの処理によりできる一本の∞回軸は、高分子に付属するある種の非対称性により、二種類の“One-wayness”が付与される。高分子が永久双極子を持ち、ポーリング処理によりその向きを固定すると、∞回軸は極性となり、対称性はC∞vとなる。力学的な延伸処理により、一般に高分子鎖は延伸方向に配向する。この時できる∞回軸は軸性であるが、高分子が不斉炭素を含みキラルであると、鏡映対称の欠如により対称性はD∞となる。一般に∞回軸を持つ対称群を極限群と呼び、全部で11あることが知られている。 C∞vとD∞は圧電性を有する極限群の基本要素であり、図2に圧電マトリクスの成分をもつ。
図2 圧電性極限群 C∞v とD∞の対称性の圧電マトリックス現在、知られている圧電ポリマーは、図3に示す3つのクラスに分類できる。クラス1は、ポーリング処理により分子双極子を配向させた高分子、クラス2はキラルな高分子の一軸配向系、クラス3はポーリング処理した高分子と非高分子の複合体である。それぞれに、非強誘電(A)、強誘電(B)のサブクラスがある。それぞれのクラスを代表する高分子の構造と双極子モーメントの大きさを図4に示す。(1D=3.3354×10-30Cm)
図3 圧電ポリマーの分類
図4 圧電高分子の分子構造と双極子モーメント3.2 分極化極性高分子
誘電緩和を示す高分子は、一般に熱ポーリングと呼ばれる分極処理により、圧電性を付与することができる。ある温度で、電場を印加して双極子を配向させ、電場を印加したまま冷却すると、双極子の配向が凍結され、残留分極Prを有する圧電ポリマーとなる。非晶セグメントのミクロブラウン運動よる誘電主緩和は、ガラス転移点Tg付近で急激に遅速化するので、熱ポーリングに有効である。このクラス1-Aの中で、VDCNとVAcの交互共重合体は、誘電緩和強度が100を超える特異な高分子で、大きな残留分極と圧電応答を示すことが知られている。
圧電率は双極子の配向度を反映する残留分極Prに比例する。後述するVDF系強誘電ポリマーにおける圧電率e33とPrの関係を図5に示す。比例係数は後に述べるように圧電性の微視的機構と密接な関係がある。
図5 VDF系強誘電高分子の圧電率と残留分極の関係3.3 延伸キラル高分子
キラルな高分子に延伸処理を加えると発現するD∞型圧電性は、深田[2]による木材の圧電性の発見に始まり、多くの生体由来高分子について報告されている。この圧電性は面ずり型と呼ばれ、ずり面に垂直方向に分極発生する。従来特性軸をZ軸にとる約束から、圧電成分は14と書かれていたが、ここではクラス1の延伸ポーリング試料と同じ座標系を採用し、分子鎖方向をX軸, 分極方向をZ軸にとると、圧電成分は36となる。配向単位の圧電マトリクスについて角θに関する一軸配向平均をとると、25及び36だけゼロでない成分となり、図6に示すように配向係数Fcに比例する。
図6 面ズリ圧電率の配向度Fc 依存性クラス2-Bの強誘電性液晶高分子は、キラルスメクチックC(Sc*)において、チルト面に垂直方向に自発分極を形成する。チルトはずり歪とみなすことができるので、自発分極はキラルな液晶分子の面ずり圧電に帰着することができる。
3.4 分極化高分子複合体
高分子は様々な物質と容易に複合体を作る。圧電性高分子複合体3-Aは、高分子膜中に空気層を面に平行方向に発達させ、膜厚方向に高い電場を加え空気相で放電を誘起させ、エレクトレット化したものである。空気相と接する高分子表面に蓄積された電荷は、膜厚の変化を空気相だけで受け持つために、外力に対し圧電応答を示す。膜厚方向の弾性率がMPaのオーダーで極めて柔らかいので、大きなd33を特徴とする。
強誘電セラミックス微粒子と高分子の分散系は、ポーリングによりセラミックスの自発分極を配列させたクラス3-Bを代表する。セラミックスの大きな圧電性に高分子の柔軟性を付与した圧電材用として利用される。その圧電率は、圧電複合則の検証としても研究されてきた。4.強誘電ポリマーの圧電性の微視的機構
1960年代、PVDFは誘電率の大きい高分子材料として注目を集めた。その後、複数の誘電緩和機構の存在が明らかになり、基礎研究の対象としても強い関心を集めた。結晶分散、主分散、局所分散とよばれる緩和機構は、高分子のダイナミクス研究の先駆けとなった。これと平行して、PVDFは多くの結晶形が存在が研究者を魅了し、やがてT(β), U(α), V(γ), W(δ)型とよばれる4種類の結晶多形の構造も次第に確立していった。
1969年の河合によるPVDF延伸ポーリングフィルムの圧電性の発見は[1]、誘電緩和や結晶多形研究の発展途上になされた。圧電性の起源が、PVDFの双極子配向によるか、あるいは外部から注入された空間電荷によるか、しばらく深刻な論争が続いた。1980年代に入ると、 I型PVDFが電場で反転可能な自発分極を持つ高分子であることが証明され、その圧電性は歪による自発分極の変化に帰着できることになった。VDFとTrFEを共重合体については、キュリー点が確認され、強誘電ポリマーの研究が大きな発展を見せた。1989年の総説で、著者は圧電性の機構を強誘電性を背景に大胆に議論している[3]。
4.1 結晶の自発分極と試料の残留分極
PVDFのI形結晶の構造を図7に示す。正に荷電したHと負のFが炭素骨格に交互に結合したトランス形分子鎖が、結晶中で平行にパッキングして、自発分極Psを形成している。モノマーの双極子モーメントの単純和より、Ps=130mC/m2となる。誘電体論においては、局所場の問題が深刻で、PVDFについても様々なモデルによるクーロン和の計算がなされ、70-220mC/m2と広範囲の結果が報告されている。最近の第一原理計算[5]は、おおむね170-180mC/m2に収束しているが、実験値との整合が不十分な状況にある。
図7 PVDF の結晶構造自発分極の大きさは、実験的にはDEヒステリシス曲線より決めることになる。しかしながら、PVDFでは、ヒステリシス曲線は試料の処理法に強く依存ししている。図8に示すように、通常の熱延伸膜と共押出し超延伸膜で、残留分極Prが60mC/m2と100mC/m2と大きく異なる値を示し、それぞれの結晶化度が50%, 80%であることに対応している。丸まったヒステリシスの形状は、結晶と非晶域の強い相互作用を示唆するもので、自発分極の評価を困難にしている。
図8 VDF 系ポリマーのDE ヒステリシス曲線VDF/TrFE共重合体は、常誘電相で熱処理をすることにより著しく結晶化度が増大し、ヒステリシス曲線が理想的な矩形になる。延伸熱処理試料は、伸び切り鎖からなる単結晶状膜と呼ばれており、飽和分極量から自発分極量はPs=100mC/m2と見積もることができる。しかしながら単結晶状膜は、結晶が(110)配向をした双晶構造をとっている。その為b軸が膜法線から30度傾き、フィルムのPsは結晶のcos(π/6)倍となる。さらに、TrFE単位の双極子モーメントがVDFの半分であることを考慮すると、PVDFに外挿したPsは132mC/m2となり、第一原理計算値よりかなり小さい。
4.2 圧電テンソル成分の定義と実験値の相違
PVDFの結晶の圧電率は、結晶格子の歪に対する自発分極Psの変化に帰着でき、評価される圧電率はe定数になる。従ってフィルム試料の実験値も、厳密にe定数を決める必要がある。C2vの伸縮圧電成分31, 32, 33に関系して、圧電率と弾性率の定義と試料の変形を図9に示す。1つの方向iに応力Tiを加え、他方向を自由条件で生じた分極P3からは圧電率d3i、歪Siからコンプライアンスsiiが決まる。このとき自由方向はポアソン比による収縮が起きている。一方向に歪Siを他方向固定条件で与えると、圧電率e3iとスティフネスciiが決まる。
図9 圧電横効果及び縦効果の変形様式通常試料として、延伸軸に平行あるいは垂直方向に長方形薄膜(長さl, 巾w, 厚さt)を切り出し、両面に面積A=lwの電極をつける(図10)。ポーリングによって、試料内部にN個の双極子が平均モーメントμをZ方向に配向したとすると、残留分極Prと全電荷Qは図中の式で与えられる。圧電率e3iを歪による分極変化とする本来の定義に従えば、S1=Δl/l, S2=Δw/w, S3=Δt/tであるので、歪によるPrの変化は、μの変化に加え、(l, w, t)の変化(寸法効果)によっても生じる。一方、実験では電極に誘起される全電荷Qを測定するので、
(1)
となり、厚さ方向、即ちe33だけに寸法効果があり、残りは歪によるμの変化が主因となる。
図10 圧電横効果及び縦効果の変形様式4.3 誘電緩和と圧電共鳴の測定
汎用の延伸ポーリングPVDF試料(Pr=60mC/m2)の複素誘電率の周波数スペクトルを図11に示す。温度とともに、高周波から低周波側に幅の広がりを伴って移動する顕著な緩和がみられる。これは、非晶のセグメント運動と結晶の局所運動に帰属されている。誘電緩和に重畳して見られる多くのスパイクが、圧電共鳴を表している。
図11 PVDF の圧電共鳴を含む誘電緩和スペクトル誘電緩和と圧電共鳴スペクトルは、次式で表現できる。
(2)
共鳴スペクトルは共鳴周波数fres(res=l, w, t)と電気力学結合係数kcpl(cpl= l, w, t)で再現できる。ε33Sは束縛誘電率で、デバイ型の緩和関数になる。
誘電緩和と圧電共鳴スペクトルの詳細を20℃におけるVDF(75)/TrFE(25)単結晶状膜について図12に示す。共鳴スペクトルにおいて、虚部のピーク位置がfres、実部の増分がkcpl2に相当する。各モードの共鳴により、誘電率がε33Sから自由誘電率ε33Tまで増大する。図11のPVDFと比べると、誘電緩和強度がはるかに小さく、圧電共鳴は鋭くかつ大きくなっている。単結晶状膜には、非晶のセグメント緩和がないので、緩和強度は小さい。しかし依然として誘電緩和は存在し、これは圧電を発現しているI形結晶が、運動状態であることを示している。
図12 VDF(75)/TrFE(25)の20℃における緩和共鳴スペクトル誘電測定用に印加した電場による圧電振動は、長方形薄膜試料に、LE、WE、TE の順で共振を誘起し、振動による圧電分極が誘電応答に重畳して観測される。LE振動は横波なので、弾性率はコンプライアンスs、圧電率はd、TE振動は縦波なので、スティフネスcと圧電率eを与える。表1に、fresとkcplをから決まる弾性率と圧電率のテンソル成分を0度カット及び90度カット試料についてはまとめてある。WEモードは、中間の境界条件で起きるので、弾性的には、1/sとcの間の値になり、コンプライアンスの非対角項s12の測定に利用できる。
表1 0 度、90 度カット試料のLE, WE, TE モード4.4 圧電率の微視的機構の理解
準備が整ったので、本稿の主題であるPVDF系強誘電ポリマーの圧電率の微視的機構に話を進める。そこでまず、構造の複雑性をPVDFをターゲットとしながら、より単純と思われるVDF(75)/TrFE(25)単結晶状膜について解析を進める。機構の解明とは、試料の圧電率の測定値から、(e31c,e32c,e33c)の評価によりなされる。この作業は実際にはかなり複雑で、試料が単結晶ではなく双晶であること、結晶中で分子運動により圧電率が緩和すること、そしていくつかの仮定が必要になることである。
まず圧電共鳴周波数から得られる各種弾性率の温度依存性を図13に示す。分子鎖方向の弾性率(11)が顕著な緩和を示し、65GPaから20GPaまでソフト化する。 この緩和は結晶中のトランス鎖の回転敵揺らぎによるもので、鎖の軟化と同時に誘電緩和の原因でも、後に示す圧電緩和の原因でもある。分子間力に起因する弾性率(22, 33)は緩やかに軟化するだけで、緩和的な変化を示さない。
図13 VDF(75)/TrFE(25)フィルムの各種弾性率次に試料の測定値から結晶の計算値に至る各種圧電率の温度依存性を、e定数を用いて図15に示す。
圧電共鳴法で決まる圧電率は、d31,d32,及びe33である。31, 32成分は、e31a=d31/s11, e32a=d32/s22 とおいて、見かけの圧電e定数として添え字aで区別する。図14に示すように、e31aとe32aは正値、e33では負値をとる。
図14 各種圧電e 定数の温度依存性次に見かけのe定数から真のe定数を計算するために、d定数とe定数の間のsを介した関係を使う。
(3)
圧電共鳴法から4種類の弾性率、s11, s22, s12, c33 が得られている。分子軸方向(11)と分子間方向(22, 33)の弾性率の強い異方性により、分子間は弾性率で等方的とすると、s11, s22=s33, s12=s13, s23となり、(3)式よりe31, e32が決まる。図14から、e31は緩和によって小さな負から正に変化し、e32は負でほぼ一定の小さな値になることがわかる。
最後に結晶のe定数を評価するには、図15に示すように、フィルム内の結晶の(110)配向により[4]、自発分極(b軸)が面法線に対しπ/6傾いていることを考慮する必要がある。この問題は、圧電マトリクスの座標変換により解くことができるが、e31, e32に厚みズリ成分e24cが逆符号で寄与する、e33だけに寸法効果の寄与があることが、複雑性をもたらしている。詳細は略すが、寸法効果をe33から除き、残りの機構、即ち実効双極子モーメントの歪依存性に起因する結晶の圧電率を計算して得られた(e31c, e32c, e33c)を図15に示す。その結果、結晶の圧電性の微視的機構は、e32c, e33cは負であまり温度に依存しないが、e31cが小さな負から正に向かって顕著な緩和を示すことに集約できる。室温の各種圧電率の値を表2にまとめた。
図15 単結晶状膜内の(110)配向による双晶構造
表2 室温の各種圧電率と残留分極値(mC/m2)
e31 e32 e33 Pr observed 110 75 -175 95 true 45 -15 -80 (-95) 95 cryst 52 -55 -55 (-115) 115PVDF系ポリマー結晶の圧電性を支配する3つの機構をまとめて図16に描く。① 運動状態の分子鎖の引っ張りによるμの配向度の増大(e31 c >0)、② 分子間距離の広がりによるμの大きさの減少(e32c、e33c<0)、③ 厚みの変化のみに起因する双極子密度の減少(寸法効果, e33c<0)である。正のe31cは、高分子強誘電体に特有の機構であり、今回の細かい解析により存在を証明することができた。
図16 圧電率の微視的機構の模式図5.終わりに
圧電ポリマーの基本的理解の感じる一方、本質にかかわる多くの課題が残されている。高分子は“複雑系”と呼ばれるが、PVDFはまさにその代表である。実験的には高次構造の制御がいまだ十分ではなく、期待の第一原理計算も、ダイナミクスを含む圧電物性には対応できていない。多くの謎解きの楽しみが残されている。文献
[1] H. Kawai, Jpn. J. Appl. Phys., 8, 975 (1969).
[2] E. Furkada, J. Phys. Soc. Jpn., 10, 149 (1955).
[3] T Furukawa,(1989), IEEE Trans. Electr. Insul. 24(3), 375 (1989).
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[5] S. M. Nakhmanson, M. B. Nardelli and J. Bernholc, Phys. Rev. Lett., 92, 115504 (2004).