2011/4
No.1121. 巻頭言 2. 中華民國音響學會學術研討會 3. 半 鐘 4. OAEスクリーナー ER-60
<会議報告>
中華民國音響學會學術研討會
所 長 山 本 貢 平2010年11月16日(火)から11月20日(土)までの5日間、台中市の逢甲大学で開かれた中華民国音響学会の研究発表会に、山下理事長と共に出かけてきました。今回の私の出張目的は、来年2011年9月4日から7日にかけて大阪国際会議場で開催する第40回国際騒音制御工学会議(INTER-NOISE 2011)をアピールし、台湾の音響研究者・技術者に参加を呼びかけることでした。
まず11月16日は、新しく完成した羽田国際線ターミナルから飛行機に搭乗し、新しく稼動を始めた第4滑走路(D滑走路)から飛び立ちました。この滑走路は建設前の環境影響評価審議で関わったので、完成の姿を見ると感慨深いものがありました。約4時間の飛行後、台北市の真ん中に近い松山国際空港に到着。空港は台北の中心街から車で10分弱のところにあり非常に便利でした。ふと自分が20年ぶりの台北訪問であることに気付きました。20年前に比べると交通の流れは極めてスムーズであり、スクータは多いものの激しいクラクションの嵐は、すっかり影を潜めていたのが印象的です。
研究発表会場の逢甲大学正門にて翌17日は、案内役の郭裕明氏(南榮貿易)の車で高速道路を経由して台中市に入りました。台中市は台湾第3の都市であり、大学等が多く存在する文教都市だと聞きました。翌18日には、中華民国音響学会の主要メンバーとのミーティングに参加しました。郭裕明氏の弟である郭裕文氏にサポートをしてもらいながらINTER-NOISE 2011に台湾から多くの参加者に来ていただくようお願いしました。また中華民国音響学会会長で成功大学教授の施鴻志先生(Prof. Hung-Chih Shih)と面識を得ることができました。都市計画系の教授でありINTER-NOISE 2011に興味を持ってくださいました。さらに元国立台湾師範大学教授で、20年前には中華民国音響学会会長であった黄乾全先生ともお目にかかることができました。黄先生は日本語が達者であったので会話が弾み、そのときにお聞きした話を幾つか紹介します。まず、中華民国音響学会は1987年に設立され、会員数は現在200名程度。年一回の研究発表会を開き、その発表件数は30前後とのことです。余談ですが、2007年に開 した「台北―高雄間の新幹線鉄道」の騒音問題について聞いてみたところ、今は完全に騒音問題が解決しているとのことでした。定期的に騒音測定を行い、沿線への補償関係は十分行われたと話されました。ちなみに騒音の基準のことを聞いてみたところ、数値は忘れましたが、最大値と等価騒音レベルの2段構え、すなわちダブルスタンダードであると説明してくれました(今後確認してみる価値がある)。
翌19日は逢甲大学で研究発表会が行われました。山下理事長はこの日、特別講演をされています。日本の音響学会と違うところは、冒頭に総会(事業報告と財政報告)があることです。会場では実行委員長の呉志超教授(逢甲大学)とも知り合いになりました。驚いたのは中華民国音響学会に、香港や上海の研究者が多数参加していたことです。台湾は大陸との交流が強まっているとの印象を受けました。来年には台湾、香港、中国の音響学会が会議を共同開催するとのことです(黄先生談)。
会場では意外な人物と出会いました。勞工安全研究所の副所長である陳秋蓉先生です。彼女は京大の衛生工学教室出身だそうで、故高木興一先生(元日本騒音制御工学会会長)の思い出を語ってくれました。その他、大勢の人と交流ができ、帰り際に「シー・ユウ・イン・オーサカ」と嬉しい言葉をかけてくれました。台湾には親日家が非常に多いという良い印象を持って帰国しました。