1987/7
No.171. 小林理学研究所における音響、振動関係の研究室紹介 2. 騒音振動第1研究室 3. 騒音振動第2研究室
6. 作業環境騒音に関するISOの最近の動向 7. クリーンエアの周辺
小林理学研究所における音響、振動関係の研究室紹介所 長 山 下 充 康
このニュースの新年号にヘルムホルツの古文書について掲載させていただいた。またまた古文書で恐縮だが、ここにもう一つの古文書を紹介させていただきたい。たまたま書棚の隅に置かれていたもので、ご覧のごとくボロボロでしみだらけのノートである。「小林理学研究所談話会ノート」と表記され、昭和28年10月23日(第350回)から昭和33年11月6日(第496回)までの標題と講演者名が記録されている。その前後の分はどこかに埋もれているのだろうが、探したけれども発見できずにいる。
この談話会ノートには小林理学研究所の職員のみならず、大学をはじめとして外部の研究機関からも多数の参加があったようで、理工学分野の長老クラスの先生がたの御名前がぞろぞろと連なっている。毎週金曜日に開催されていたらしく、邦文、英文、独文の文献紹介、個別の研究についての概要報告など標題を見るだけでも諸先輩の精力的な勉強ぶりには敬服させられる。
ところで、財団法人小林理学研究所は昭和15年に設立されて以来、理工学の分野で社会に貢献することを念願しつつ多角的な研究活動を営んで来ている。近年では音響、振動を中心とした基礎的な研究とその成果に基づく応用研究の推進に主眼を置き、生活に拘わる様々な課題の解決に努めている。三年後には設立50周年を迎えようとしている小林理研の長い歴史の中で、偉大な諸先輩に培われて来た理工学の知見をこれまで以上に育成し、活性化することは今日の我々に科せられた大切な使命である。従って、研究者としての自己形成のためには専門分野における知見の集積と日常の研さんが従来にも要求されるところである。
一方、公官庁をはじめ民間を含む各種企業体から寄せられる音響、振動関連の課題は社会的な動向を受けて内容が多様化するとともに件数も増加する傾向がある。これらに対して的確に対応するためには、新鮮な専門知識の習得はもとより、それに基づいた応用技術の開発に各研究者は常時目を向けていなければならない。
各種研究業務を能率的、合理的に推進するための試みの一つとして、この4月、小林理学研究所の音響と振動に関係する研究室を次のように編成し、より一層の機動性をもって事業に当たることとした。
研究室名 室 長 主 任 騒音振動第1研究室 山田一郎
落合博明騒音振動第2研究室 横田明則 山本貢平騒音振動第3研究室 加来治郎 木村和則建築音響研究室 小川博正 金沢純一、吉村純一何分いまだ若輩の域を抜け切れず勉強しなければならない事柄が山積している。それには、ご紹介したノートに遺されている諸先輩の談話会のような場を持つことは有意義であろう。現在の研究所の活動情況に照らしてそのような会合を毎週開催することは容易ではない。せめて月例会の形ででも勉強の機会を持ちたいものだとの内部の希望があって、現在、研究室相互の連絡や新情報に関する意見交換、特筆すべき研究内容の紹介やディスカ ッションなどを「月例勉強会」として常設し、楽しみながら研さんに努めることにしている。