2020/1
No.147
1. 巻頭言 2. ISE 17参加報告 3. ICA 2019 4. コードレスオージオメータ
   

 
  音の国際年2020 (International Year of Sound)  2020 年 元旦  


  理 事 長  山 本  貢 平

 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。いよいよ2020 年の幕開けです。今年 はエキサイティングな年になる予感がします。まず、小林理学研究所は8月に創立80 周年を迎えます。このことにつ いては本紙7月号ででもお話しましょう。そしてなんといっても、日本にとっての大きなトピックスは、東京2020 オ リンピック・パラリンピックの開催です。東京開催は、1964 年以来56 年ぶりとなります。あの時、私は中学2年生で した。体操競技の小野 喬選手の出場に胸をときめかせたことを思い出しました。そういえば、小野選手が金メダルを とった1960年のローマ大会から数えると60年目にも当たり、時代の移り変わりの早さには感慨深いものがあります。と ころで、私は8年前の2012年から東京2020オリンピック・パラリンピック環境影響評価に関わってきました。そして、 既に競技場の建設計画段階からほぼ完成までを目撃しています。今後は、競技開催中の環境アセスおよびそのフォロー アップに作業が移ります。安全で安心で心に残る良いオリンピックとなることを心より望んでおります。

 もう一つ、2020 年には大事な行事が予定されています。それは、国際音響学会ICA (International Commission for Acoustics)が主催する「IYS2020 (International Year of Sound)」の開催です。日本語に訳せば「音の国際年2020」とで もなるでしょうか。ICA では2013 年からこのような行事の必要性が議論されてきました。そんな折、2017 年9月にパ リで開かれたUNESCO総会にて、アルゼンチン、フランス、日本、レバノンの大使による提案に基づき、「39C/49 The Importance of Sound in Today’s World: Promoting Best Practices」が決議されたのです。これは、今日の世界におけ る「音」の役割の重要性を市民に知らしめようという趣旨です。この決議に基づいて、フランスのChristian Hugonnet が各国で開催してきた「Week of Sound (La Semaine du Son)」が正式な行事としてヨーロッパ各地で開催されること になりました。また、ICA も「International Year of Sound 2020」を開催することに決めました。具体的には2020 年1 月31日(金)に、パリのソルボンヌ大学の講堂でオープニングセレモニーが開催されます。それがキックオフです。そ のあと、ICA 加盟国の学協会がそれぞれの国で、IYS2020 に関わるさまざまな行事を開催することになります。

 2017 年のUNESCO 決議には5つの分野が含まれています。すなわち音環境 (the sound environment)、健康 (health)、 録音と再生と保存技術 (sound recording, reproduction and conservation technology)、視覚と音の関係(the relation between image and sound)、音楽と音の表現 (musical and sound expression)です。音環境という面では、幅広く騒音制御分野が 関係しますし、健康では医学分野での音波利用、録音・再生技術はオーデイオや放送などのコミュニケーションに関わ る分野、視覚と音は心理分野から社会科学分野、そして音楽と音は芸術や文化というカルチャーの分野がかかわってき ます。世界の音響に関わる学協会が参加しますので、キーワード「IYS2020」でネット検索をしてみてください。

 

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