圧電デバイスの開発研究

2.圧電素子による音・振動制御
  歪みを加えると電気を生じ、逆に電気を加えると歪みを生じる性質をもつ材料、圧電材料といいます。この圧電材料にある特殊な電気回路を取り付けると、材料の弾性率(硬さ)を好きなように制御できるようになります。当所では、この現象を音響および振動の制御に応用する方法について研究をすすめています。例えば、材料を軟らかくした状態で固体振動の伝搬経路に挿入すると振動が伝搬しにくくなるため、建築物における振動絶縁への応用が期待できます。

 
圧電材料(積層セラミック)


音響性能の測定装置に挿入された圧電フィルム
 

研究成果を小林理研ニュースで紹介しました。
「圧電材料を応用した遮音構造および防振構造」No.78(2002/10)
「圧電体による音・振動制御」No.89(2005/7)

・ PVDFフィルム衝撃・熱センサ
 従来のセンサは圧電セラミックスが金属やプラスチックのケースに挿入された構造のため、一つのセンサーで大面積の構造物の振動を検出する際に振動絶縁の恐れがあるだけでなく、熱伝導しづらく焦電性を用いた熱検出は困難です。そこで両面に電極を設けたポリフッ化ビニリデンをテープ状とし構造物の全体や周囲に貼り付けた、構造物そのものが衝撃や熱を関知するシステムの開発をしております。ITO電極を用いればフィルムの透明性を維持することが出来、単板ガラスとの組み合わせや合わせガラスへの内装により透明性を維持しつつ、衝撃を関知すると同時に急激な温度の上昇を関知することが出来ます。応用可能性として、ガラスや特に脆弱性の高い構造物などの常時モニタ、近年多発している加熱及び衝撃によるガラス破り対策防犯センサなどが挙げられます。

−研究・受託内容 目次へもどる−