2007/1
No.95
1. 新年を迎えるにあたって 2. 能本乙彦先生と小林理研 3. ECAPD'8参加報告

4. 静電気発生器

5. 第27回ピエゾサロン 6. 1/2インチエレクトレットマイクロホンUC-59
 
 新年を迎えるにあたって

理事長 山 下 充 康

 例年であれば新年に刊行する「小林理研ニュース」の紙面ではご挨拶として新年のお慶びを申しあげるところですが、昨年は手を携えるようにして音響物理学分野の巨星と言われている大先生方が他界されましたので、小林理学研究所としては新年のご挨拶を差し控えさせていただくところでありましょう。前理事長を務められた五十嵐寿一先生(名誉顧問)が新年二日に、二月には元理事の河合平司先生(名誉研究員)、五月には同じく元理事の牧田康雄先生(非常勤主任研究員)の諸先生方が相次いで逝去されました。他界された先生方の享年は五十嵐先生89歳、河合先生95歳、牧田先生93歳でした。皆様がご長寿を全うされたものと承知します。あらためてここに先生方のご冥福をお祈り申し上げる次第でございます。
 「品格」という言葉が昨年の流行語大賞に選ばれました。前掲の諸先生方は創設以来67年の歴史を重ねてきた小林理学研究所の基盤の構築と発展に大きく貢献されたことは今更ここに申し上げるまでもありませんが、ご指導いただいた私どもが諸先生方に強く感じていたのは「品格」ではなかったでしょうか。小林理学研究所は「音、振動を中心とした物理科学の応用研究」を使命とする学術研究機関であるとされています。優れた研究成果は関係諸機関の皆様から高く評価されているところですが、小林理学研究所が培ってきた特質は研究成果はもとより、優れた研究者たちの育成であると考えます。小林理学研究所では研究者の育成に当たって「良識」を育むことを重要視しています。学術的に優れた成果を創出する背後には社会への貢献を願う心を忘れてはならないものと考えております。他界された諸先生方が今日の私たちに遺された大きな財産は「小林理学研究所らしい」と言われる特徴ある研究姿勢ではなかったでしょうか。他では見ることの出来ない小林理学研究所に固有の良識に満ちた特質、これこそが「品格」であると感じます。諸先生方からの貴重な遺産は今私たちの手にゆだねられました。これからは私たちが小林理学研究所をこれまで以上に力を尽くして支えなければなりません。諸先生方が私たちに遺して下さった「研究者としての品格」を忘れることなく日々研鑽を怠ることなく研究活動を展開しなければなりません。
 小林理学研究所では健全で優れたバランス感覚を備えた科学者集団が活動することの出来る「場」を整備することが大きな課題であると考えております。新年に当たって、私が理事長の職に就いたおりに掲げさせていただいた基本的な理念を再度ここに掲示させていただくことにいたします。宜しくご指導くださいますようにお願い申し上げます。
小林理学研究所は 風格と活力を感じさせる研究所を目指す。
尊敬と信頼を得るに足る体質の研究所を目指す。
小林理学研究所にあっては 優れた内容の研究成果を社会に提供する。
良識を備えた研究者を育成し、社会に対して人材的な貢献をする。
職員にとって魅力ある研究環境と労働条件を整備する。

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