1995/4
No.48
1. 所長就任のご挨拶 2. 地震のデシベル値 3. 自動演奏楽器 4. 超音波診断装置UX-02
    
 所長就任のご挨拶

所 長 山 田 一 郎

 皆様方には平素より小林理学研究所の活動にご支援とご協力を賜りまして深く感謝申しあげます。

 この度4月1日付をもちまして所長を命ぜられました。これまで所長を務めておりました山下充康は皆様すでにご承知の通り、昨秋、理事長に就任いたしております。小林理学研究所の一層の発展をめざし、理事長を中心に、一致団結して努力する決心でございます。

 小林理学研究所は今年で創立五十五周年となります。設立の趣旨には「理学及びその応用を研究し、公益に資する」と記されています。理学は自然科学の基礎研究諸分野の称ですが、二十一世紀への扉を開きつつある今日、応用の分野は広がるばかりで止まるところがありません。

 理事長は就任の決意を表すものとして「風格と活力を感じさせる研究所、尊敬と信頼を得るに足る体質の研究所」を目指すというビジョンを表明いたしました。さらに理念として優れた研究成果の社会への提供、良識ある研究者の育成と社会への人材的貢献、研究環境と労働条件の整備を挙げました。

 これらの課題をいかにして実現するか、考えるほどに所長としての責務の重さを痛感いたしますが、肩の力を抜いて考えますと健康を維持することが活力の素となり、日々の仕事を積極的かつ的確にやり遂げることが信頼を蓄積し、尊敬を得ることや風格へとつながっていきます。つまり、いずれも私たちが常日頃なすべき活動が基本であると思います。未曾有の阪神大震災では大方の備えが無力だったそうですが、電気を消す・ガス栓を閉めるという基本的な行動は有効だったと聞きます。何をするにしても世界へと視野を広げなければならない時代ですが、日々の地道な活動こそが基本であることを常に心掛けるようにいたします。  とはいえ時代はどんどん変化しています。社会情勢も科学分野も日々新たなことが起きでいます。基本を重視するあまり新しいことへの対応が疎かになっては発展がありません。頭を柔軟にチャレンジ精神で臨まなければなりません。面白い発想があれば失敗を恐れずに活かすようにします。労働の面でもみんなが縮こまることなく喜びと生き甲斐をもって働けるように努力します。

 ゲーテの言葉を借りると「人間は努力するかぎり迷う」そうです。未熟を恐れず、聴く・見る・話すを念頭に、所長職を全うするためにおおいに迷いたいと思います。微力ではございますが、誠心誠意、最善を尽くす決意でおりますので、どうぞ、今後も倍旧のご指導とご鞭撻を賜りますよう、心からお願い申しあげます。

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