1987/10
No.18
1. 20周年を迎えた「母と子の教室」 2. 振動ピックアップの比較校正 3. 1/Nオクターブ実時間分析器(SA-26) 4. 人間と関係のある振動の測定器規格

 人間と関係のある振動の測定器規格

 ISOで検討している人間とのかかわりを持つ振動は、全身に加わる振動と、手を通して入る振動で、前者を全身振動、後者を手腕系振動と呼んでいます。それぞれの振動は、評価する目的によって異なった周波数範囲と特性で考えることをISOで討議し、あるものは決定してISとなり、あるものはDISとして提案中です。これらの振動の測定器として一括して規格をきめようという動きは大分前からあって、1983年に3rd Draft Proposalを入手 した時、今さら基準値の問題を蒸し返しても仕方がないからと、日本から賛成投票をした覚えがあります。この改定版が今回ISO/DIS 8041"Human response to vibration-Measaring in instrumentation"として出てきました。

 全身振動のISO 2631はPart1〜4に分かれており、次の通りです。
Part1:1〜80Hzでの人体振動についての評価指針
Part2:1〜80Hzでの建物内床振動評価(提案中)
Part3:0.1〜0.63Hzの2方向振動評価(動揺病)
Part4:1〜80Hzでの船内乗組員の振動評価(提案中)

手腕系振動のISO 5349は本ニュースのNo.16に掲載さた通りです。
 このDISの中での主立ったことをかいつまんで説明します。
●基準値:10
-6m/s2、若し違う基準を使う時には書かなければならない。
●校正周波数:ISO2631/3=0.398Hz(W=2.5), -5.53dB
 全身振動x,y(W.B.x,y)=7.96Hz(w=50),-11.91dB
 全身振動Z (W.B.Z)=7.96Hz(w=50), -0.87dB
 全身振動合成(W.B.combined)=7.96Hz(w=50), -4.71dB
 手腕系   (HA)  =79.6Hz(w=500), -13.89dB
●整流時定数:1秒の指数平均定数と60秒又はそれ以上の2乗積分値が得られること。もし加えるならば、1/8、8秒がよい。
●Type1とType2の計測器:Type1がいわゆる精密級で、1時間後の指示値の経時変化が 0.3dBと0.5dB、指示誤差が±0.3dB、±0.5dBなどのほか、スレストファクタの違いによるr,m,s指示値の誤差、バーストシグナルのレスポンス、積分値許容範囲などの規定が、Type2と対比して示されています。
 
 いずれにしても、我が国で審議して対応をする期限が過ぎているので、このDISがISになる可能性は非常に大きいと思われます。

(時田保夫)

単一バースト信号に対するレスポンス
 
積分誤差
クレストファクタと実効値指示誤差

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