圧電ポリマー物性研究

3.広帯域誘電率測定および圧電共鳴測定

 

3-1.緩和現象と分子運動
 高分子の誘電・弾性応答は分子の変形(運動)を伴い、分子構造や凝集状態だけでなく、温度や周波数に依存します。したがって、誘電率や弾性率を周波数や温度の依存性として測定すれば各運動モードに起因する緩和現象が観測されます。当研究所はこの緩和現象を解析しサンプルに固有な性質について、発現機構を解き明かします。

3-2.広帯域誘電率測定
 当研究所では最大10mHzから10GHzまで8桁にわたる高精度・広帯域誘電率測定を行います。高分子は分子運動が比較的遅く、広帯域スペクトルにより各種緩和モードが観測され、さらに不純物等による導電性も合わせて測定することもできます。測定された周波数スペクトルをHavriliak-Negami式で解析し、緩和時間と緩和強度を求めます。


3-3.温度依存性測定
 誘電率温度スペクトルは周波数スペクトル測定と比較して簡便な手法で、誘電緩和や導電性を大まかに把握することが出来ます。各サンプルの比較や作成条件の影響等を容易に把握することが出来ます。

3-4.圧電共鳴測定
 圧電性を有する高分子の誘電率周波数スペクトルは、ところどころにスパイク状の共鳴スペクトルを示します。これは圧電共鳴と呼ばれ、詳細な解析により圧電率だけでなく弾性率や弾性損失をテンソル成分として求めることが出来ます。

3-5.各種高精度誘電測定
 当研究所ではコンピュータとAD/DAボードを組み合わせた高精度誘電測定システムを開発しています。印加電圧の波形や取り込んだ信号の解析方法を工夫することで、誘電性だけでなく非線形応答を介して圧電性や弾性(電歪)を評価します。


 

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